2024年3月号掲載

未婚と少子化 この国で子どもを産みにくい理由

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著者紹介

概要

「少子化」が止まらない日本。政府は対策を講じているが、実を結んでいない。なぜか? 著者は、「少子化にまつわる誤解」が世間に浸透していることを理由の1つに挙げる。“少子化対策=子育て支援”とだけ考えるのは、その最たるものだ。こうした誤解を、各種データを基に検証。少子化対策を前に進めるための知識を提供する。

要約

少子化の何が問題か

 少子化は、日本が取り組むべき最大の問題の1つである。しかし、いくつかの誤った、あるいはミスリーディングな認識がある。そのため、これまでの少子化対策には原因の認識を含めて、問題・課題が多い。

 肝心なのは、様々なデータや実情を総合的に見た上で、バランスの取れた方向性を探ることだ。

少子化問題を整理する

 少子化問題に関連する概念や数値には様々なものがある。少子化に関連する数値として、日本では合計特殊出生率(女性が一生のうちに何人出産するのかの数値)が使われることが多い。その他には、出生数、人口規模、人口構成などがある。

 ここではまず、「規模」と「構成」の違い、あるいはそれらの関係について考えてみよう。

 シンプルに言えば、出生率が人口置換水準(社会全体の人口を維持するだけの出生率の水準。先進国では2.07くらい)を下回る状態が続けば、人口構成(年齢構造)は高齢化し、人口規模も長期的に縮小に向かう。学術的な文脈で「少子化」と言う場合、このように出生率が人口置換水準を下回る状態を言うことが多い。

 この観点から言えば、ほとんどの先進国は「少子化」の状態にある。というのは、イスラエルを除いてOECD(経済協力開発機構)加盟国の出生率は人口置換水準を下回っているからである。

 また、加盟国で日本より人口が多いのはアメリカとメキシコのみ。であれば、「日本はほとんどの経済先進国より人口が多いから、もっと人口が減っても大丈夫」と考える人もいるかもしれない。

 ただ、専門家の間でそう考えている人はそれほどいない。というのは、少子化で最も懸念されるのは、人口規模ではなく人口構成だからだ。

出生数も人口も減ることはほぼ確定

 人口構成と人口規模以外に、出生数も重要な数値である。出生率と出生数の2つは密接に関連する数字だが、同じものではない。出生率を算定する際は、ある年の15~49歳の女性の人口を分母にし、その年の出生数を分子にする。

 出生率の計算では15~49歳の女性の人口を用いるが、実際には出産の多くは女性が20代か30代前半(20~34歳)の間で生じる。この年齢帯の女性人口は1920~70年代は一貫して上昇してきた。しかし、1970年代後半~1990年代前半は20~34歳の女性の数が減り、出生率も低下したため、出生数が減少した。

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