2024年5月号掲載

超進化経営

最新号掲載 超進化経営 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

長寿企業が多く存在する一方で、成長性に乏しい日本の市場。そんな状況下で勝ち続ける企業は、進化の“型”を持っている。本書は、彼ら成長企業に共通する「進化の法則」を、多数の実例を交えて解き明かす。欧米流の経営手法に流され、大切にすべき志を見失ってきた平成の経営から、脱却するヒントを与えてくれる1冊である。

要約

長寿企業の“進化の法則”

 1983年に、『日経ビジネス』は「企業の寿命30年説」を唱えた。企業が繁栄を謳歌する期間は30年だというのだ。

 例えば、平成元年(1989年)の世界の時価総額ランキングをみると、トップ50社のうち、半数が日本企業だった。しかし30年後の平成31年(2019年)は、トヨタだけだ。

 一方、企業の寿命という切り口でみると、2020年の調査で次のような結果が出ている。

    • ・創業100年以上の日本企業は3万3076社で、世界トップ。世界の100年企業全体に占める割合は41.3%。
    • ・創業200年になるとその傾向はさらに高まり、企業数は1340社で日本がトップ。世界の創業200年を超える企業全体に占める割合は65%。

 ただ、その中身は次のような構成になっている。

    • ・100年企業出現率の最も高い業種は小売業、創業200年以上は宿泊・飲食業がトップ。
    • ・売上規模別に見ると、100年企業の半数近くが1億円未満。

 つまり、多くが地場産業の零細企業なのである。

実はゾンビ企業大国?

 なぜ、日本企業の多くは成長することなく長生きできるのか。新陳代謝に乏しい日本の組織は、活力が著しく不足しているのではないか。

 例えば、上場企業の価値を測る指標として、PBR(株価純資産倍率)がある。株価を1株当たりの純資産で割った倍率である。1倍を切るようであれば、その企業は事業を続けるより、資産を売却して解散した方が価値を生むことを意味する。

 2023年3月31日の時点で、東証プライム市場とスタンダード市場に上場する約3300社の半数が、PBR1倍を割っていた。本来、資本市場から退場を迫られるべき企業が、のうのうと生き延びている。日本の実態は、長寿企業というより、「ゾンビ」企業大国というべきかもしれない。

超進化企業トップ50社

 トップ10には、オリエンタルランド(1位)やサンリオ(2位)などのエンタメ企業、アドバンテスト(3位)や東京エレクトロン(8位)などの半導体関連企業が並ぶ。興味深いのは、50社中18社が100年を超える長寿企業ということだ。

 これらの企業は「寿命30年」の壁を越えて進化している。成長へと方向転換するには、これら長寿企業から“進化の法則”を学ぶ必要がある。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則

ジェームズ・C・コリンズ 日経BP社

ビジョナリー・カンパニー② 飛躍の法則

ジェームズ・C・コリンズ 日経BP社

キーエンス 高付加価値経営の論理

延岡健太郎 日経BP・日本経済新聞出版

エコシステム・ディスラプション 業界なき時代の競争戦略

ロン・アドナー 東洋経済新報社