10月22日、イタリアの首相にジョルジャ・メローニ氏が就任しました。氏は9月に行われた上下院の総選挙で第1党になった極右「イタリアの同胞(FDI)」の党首です。日本経済新聞は、FDIが第1党となった件について、「イタリアにポピュリズム政権 親ロシア、西側結束に影」との見出しを掲げ、報じました(2022年9月27日電子版)。
ポピュリズム――。日頃、国際政治に関するニュースなどでよく見聞きする言葉です。先述の日経新聞の記事では、「ポピュリズム(大衆迎合主義)」と表記されていました。では、ポピュリズムとは、具体的にどんな政策を掲げる政党を指すのでしょうか。この点については、個々のニュース記事から読み取ることは難しいように思います。
例えば、イタリアのFDIは右派のポピュリズムと言われますが、同じイタリアの「五つ星運動」などは、左派のポピュリズム政党です。ポピュリズムには、「右派」「左派」「保守」「リベラル」といったイデオロギーでは捉えきれない、別の基準が存在するのです。
今週Pick Upするのは、こうした捉えにくい「ポピュリズム」の本質を包括的に解説した1冊、『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か』(水島治郎/中央公論新社)です。
著者の水島氏は、オランダ政治史やヨーロッパ政治史を専門とする研究者。19世紀末、アメリカで誕生したポピュリズムが徐々に発展し、21世紀になって世界各国で台頭するまでの流れをわかりやすく解き明かします。なお、本書が刊行された2016年は、イギリスでEU離脱を問う国民投票が実施され、アメリカの大統領選挙では“トランプ旋風”が吹き荒れた年でした。
さて、『TOPPOINT』の要約でもご紹介していますが、本書では、「ポピュリズム」の定義を次のように述べています。
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