2024年下半期
TOPPOINT大賞を
発表いたします。
新刊ビジネス書情報誌『TOPPOINT(トップポイント)』は、2024年7月号~12月号で紹介しました60冊の中から、ビジネスリーダーの方々を中心とする1万名以上の定期購読者を対象とした定例の読者アンケートを行い、2024年下半期「TOPPOINT大賞」(第41回)を決定いたしました。 「TOPPOINT大賞」以下、ベスト10冊を発表いたします。
TOPPOINT大賞
受賞書籍ランキング
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大賞企業変革のジレンマ ――「構造的無能化」はなぜ起きるのか (宇田川元一 / 日経BP・日本経済新聞出版)
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2進撃のドンキ 知られざる巨大企業の深淵なる経営 (酒井大輔 / 日経BP)
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3クリティカル・ビジネス・パラダイム 社会運動とビジネスの交わるところ (山口 周 / プレジデント社)
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4ハマスの実像 (川上泰徳 / 集英社(集英社新書))
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5「組織と人数」の絶対法則 人間関係を支配する「ダンバー数」のすごい力 (トレイシー・カミレッリ、サマンサ・ロッキー、ロビン・ダンバー / 東洋経済新報社)
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6「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策 (今井むつみ / 日経BP)
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7最適脳 6つの脳内物質で人生を変える (デヴィッド・JP・フィリップス / 新潮社(新潮新書))
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8検証 政治とカネ (上脇博之 / 岩波書店(岩波新書))
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9フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則 (細谷 功 / KADOKAWA)
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10破壊なき市場創造の時代 ――これからのイノベーションを実現する (W・チャン・キム、レネ・モボルニュ / ダイヤモンド社)
読者のコメント
- 実際に組織改革が課題意識としてある中で読みとても参考となったが、これほど書かれている内容は平易ながら実行することを考えると難しいことはない。ただ、それでも愚直に取り組むことしかないこともわかるため、本書を携えて一歩ずつ進めていきたい。(50代・男性)
- まさに自社の組織が漫然とした不調を抱えている状況でこの本を読み刮目した。危機にまで陥っていない企業の変革に求められるのはまさに対話であり、相手を知ろうとする姿勢なのであろう。そしてそれは経営層はもとより全社員に求められる。(60代・男性)
- 経営が悪化してもV字回復できる会社は一握りだろう。ほとんどは回復できずに倒産する。そうならないために、悪化する前に少しずつ良くしていくにはどうすればいいかがまさに大切。経営陣に読んでほしい。(60代・男性)
- 著者のこれまでの本も読んでいるが、とにかく組織に対話が足りないことを訴えている。実際に会社で対話をやろうとすると簡単にはいかないかもしれないが、目指すべきことだと思う。(60代・男性) もっと見る
受賞に寄せて
- この度は皆様から拙著『企業変革のジレンマ ―― 「構造的無能化」はなぜ起きるのか』をTOPPOINT大賞に選んでいただき、大変光栄に存じます。
本書は、企業の慢性疾患ともいうべき緩慢な衰退がなぜ生じるのか、その発生メカニズムを「構造的無能化」の問題として考察しました。そして、構造的無能化を乗り越えていくために、対話を基軸とした変革の方向性について述べています。
経営危機のような「有事」ではなく、緩やかな衰退のような「平時」の変革については類書がなく、苦しい中で3年間執筆に取り組みました。しかし、このようにご評価をいただき、その苦労が報われた気持ちがいたします。
長い変革の道のりを歩もうとする方々に本書が届くことを願っています。
宇田川元一
著者紹介
2 2024年10月号掲載進撃のドンキ 知られざる巨大企業の深淵なる経営
売上高2兆円超、34期連続で増収増益。今や日本の小売りグループで売上高4位となった「ドン・キホーテ」。この快進撃を可能にしたものとは? 変幻自在の店づくり、現場への徹底した権限委譲、仕事を「労働」(ワーク)ではなく「競争」(ゲーム)にするなど、業界の常識を打ち破った“異端企業”ならではの経営戦略に迫る。
著者 | 酒井大輔 |
出版社 | 日経BP |
発行日 | 2024年8月 |
定価 | 2,090円 |
読者のコメント
- ●浮沈の激しい小売業界において長期にわたり増収増益を続けている経営の逞しさ。その中核が「現場への権限移譲」。頭ではわかってもなかなかできないことを「源流」をバイブルとしながら、経営層だけでなく社員にも深く浸透している点。各店舗に独自性を持たせながら、国内にとどまらず海外へも積極果敢に突き進む姿など、とても参考になりました。(男性)
- ●若い世代をどう教育して良いかわからない昭和世代に、発想の転換のヒントになると感じました。(50代・男性)
著者紹介
酒井大輔(さかい だいすけ)
日経ビジネス 日経BPロンドン支局長。1986年石川県生まれ。京都大学法学部卒業後、金沢で新聞記者に。2017年2月、日経BPに入社。24年4月から現職。著書に『ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか』(日経BP)。
3 2024年7月号掲載クリティカル・ビジネス・パラダイム 社会運動とビジネスの交わるところ
ビジネスは、便利で快適な社会をつくることを目的としてきた。それを満たした今日、次に目指すべき方向性を提示。社会で見過ごされる不正義を批判し、人々の価値観をアップデートする ――「社会運動・社会批判」としてのビジネスを、事例を交え語る。今、世界では、こうしたビジネスの「パラダイムの転換」が起きている!
著者 | 山口 周 |
出版社 | プレジデント社 |
発行日 | 2024年4月 |
定価 | 2,090円 |
読者のコメント
- ●新たな気付きに富んでおり、顧客・競合企業を含めて、社会課題解決(win-win)に向けて焦点を合わせ、価値創造していく、パイを広げていく、という発想にワクワクする。一方で、そういった発想に共感できない企業や人は、これから劣後していくのではないか、という危機感もある。日々の業務での共創力を意識するとともに、人財育成の場でもくりかえし伝えていきたい。(40代・男性)
- ●新規事業企画の部署にいる自分にとって、大きな刺激となった一冊。(男性)
著者紹介
山口 周(やまぐち しゅう)
1970年東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。ライプニッツ代表。慶應義塾大学大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『劣化するオッサン社会の処方箋』(光文社)など多数。
4 2024年11月号掲載ハマスの実像
日本ではほとんど知られていないイスラム組織「ハマス」の正体に、中東ジャーナリストが迫った。普段は孤児などを支援する社会慈善組織として活動。ガザの若者に「生きる意味」を与える…。現地取材をもとに示される実像は、残酷なテロ組織のイメージとは異なるものだ。パレスチナ問題の現実を知る上で一助となる書である。
著者 | 川上泰徳 |
出版社 | 集英社(集英社新書) |
発行日 | 2024年8月 |
定価 | 1,155円 |
読者のコメント
- ●ニュース等での一方向的な報道に捉われず、多面的に物事を知ることの重要さが分かる。書を通じて、イデオロギー的な対立とは異なる視点を養い、人として相手の立場に立つことの大切さを忘れないようにしたいと感じた。(40代・男性)
- ●決してマスメディアからは報じられない「ハマス」の誕生背景や組織構造を伺い知ることができ有益でした。(50代・男性)
- ●一面的に見てはいけない、示唆にとむ題材。(30代・男性)
著者紹介
川上泰徳(かわかみ やすのり)
1956年生まれ。中東ジャーナリスト。元朝日新聞記者・編集委員。カイロ、エルサレム、バグダッドに特派員として駐在し、イラク戦争や「アラブの春」を取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。著書に、『イラク零年』『中東の現場を歩く』などがある。
5 2024年12月号掲載「組織と人数」の絶対法則 人間関係を支配する「ダンバー数」のすごい力
健全な組織運営のカギは、“規模”にあり! 5人までならリーダー不要、50人ならリーダーを置き、150人ならサブリーダーなど階層化が不可欠。進化心理学の権威ロビン・ダンバーによれば、人が関係を維持できるのは「150人」まで。そんな数字に基づく科学的組織論だ。組織の規模に応じたあり方、リーダーの職責が説かれる。
著者 | トレイシー・カミレッリ、サマンサ・ロッキー、ロビン・ダンバー |
訳者 | 鍛原多惠子 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
発行日 | 2024年10月 |
定価 | 2,090円 |
読者のコメント
- ●自分が社交性の低い人だったという固定観念を解き放ってくれたから(単に管理できる、重厚な交わりのできる人数にとどめているだけなのだ、と)(30代・男性)
- ●管理職だが、「ダンバー・グラフ」を頭に入れてチーム作りを考えたいと思った。(40代・男性)
- ●人間関係を誤らないためにも読んでおきたい本です(女性)
- ●すごく納得させられました。(40代・男性)
著者紹介
Tracey Camilleri
オックスフォード大学サイード・ビジネススクールのアソシエイト・フェロー。
Samantha Rockey
同ビジネススクール・オープンプログラムのアソシエイト・フェロー。
Robin Dunbar
オックスフォード大学の進化心理学が専門の名誉教授。
6 2024年7月号掲載「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策
「言った、言わない」を繰り返す、自分の発言が都合よく解釈される…。こうした問題に、どう対応すべきか? 繰り返し説明しても、うまくいかない。人は、忘れ、誤解する生き物だから。これを前提に、認知科学の専門家がコミュニケーションの本質と解決策を語る。「伝わる説明」を行い、相手とわかり合う上で、示唆に富む1冊だ。
著者 | 今井むつみ |
出版社 | 日経BP |
発行日 | 2024年5月 |
定価 | 1,870円 |
読者のコメント
- ●スキーマの違い、これに尽きます。バイアスも各専門分野で互いに異なるのも再認識できました。(50代・男性)
- ●事前に説明したにも関わらず当日同じ失敗が起こる。業務で常につきまとう問題の為(40代・男性)
著者紹介
今井むつみ(いまい むつみ)
慶應義塾大学環境情報学部教授。1989年慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。94年ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学。主な著書に『ことばと思考』『学びとは何か』(岩波書店)、『ことばの発達の謎を解く』(筑摩書房)など。共著に『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中央公論新社、「新書大賞2024」大賞受賞)などがある。
7 2024年7月号掲載最適脳 6つの脳内物質で人生を変える
気分が落ち込む、ストレスを常に感じる…。そんな状況からどうすれば抜け出せるのか? 現代人が陥りがちな悩みに、長年鬱に苦しんだコミュニケーションの専門家が解決のヒントを示した。精神状態に大きな影響を与える6つの脳内物質の働きを平易に解説。それらのバランスを整え、自分の人生を変えるための方法を伝授する。
著者 | デヴィッド・JP・フィリップス |
訳者 | 久山葉子 |
出版社 | 新潮社(新潮新書) |
発行日 | 2024年4月 |
定価 | 1,210円 |
読者のコメント
- ●脳内物質のはたらきの解説がわかりやすかった。どうすれば脳(心?)の状態がよくなるのかがわかった。(50代・女性)
- ●ストレスをコントロールできると感じさせられたし納得感を得た。(50代・男性)
- ●ドーパミンについて知ることができた。(30代・男性)
著者紹介
David JP Phillips
1976年スウェーデン生まれ。プレゼンテーションのスキルを伝授する企業などを創立したレクチャラー(講師)。
8 2024年10月号掲載検証 政治とカネ
自民党の派閥による「政治資金パーティー裏金事件」。その発覚以降、「政治とカネ」問題への関心が高まっている。自民党の政治団体はどのように裏金をつくったのか? なぜそれを防げなかったのか? 長年、この問題を告発し続けてきた憲法学者が、現行法の抜け穴や1994年の政治改革の誤りなどについて検証、問題の本質を抉り出す。
著者 | 上脇博之 |
出版社 | 岩波書店(岩波新書) |
発行日 | 2024年7月 |
定価 | 990円 |
読者のコメント
- ●現在の日本の政治状況は、著者の告発をきっかけに形成されました。著者の活動に敬意を表します。(50代・男性)
- ●政治資金規正法が改正されるが、本書を読むとそれで政治家が金の問題にきれいになるはずがない。(男性)
著者紹介
上脇博之(かみわき ひろし)
1958年、鹿児島県生まれ。関西大学法学部卒業、神戸大学大学院法学研究科博士課程後期課程単位取得。専攻、憲法学。現在、神戸学院大学法学部教授。市民団体「政治資金オンブズマン」代表、公益財団法人「政治資金センター」理事も務める。著書、『政党国家論と憲法学』(信山社)、『政党助成法の憲法問題』(日本評論社)など多数。
9 2024年7月号掲載フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則
世界は、「フローとストック」と「具体と抽象」の組み合わせで説明できる ―― 。人間社会の変化のメカニズムを読み解くカギ、四象限の「CAFS(キャフス)マトリックス」を紹介する。この新しいフレームワークで個別の事象を単純化すれば、背後にある「構造的な法則」が見えてくる。そして、次に起きる出来事を予想できるようになる!
著者 | 細谷 功 |
出版社 | KADOKAWA |
発行日 | 2024年4月 |
定価 | 1,870円 |
読者のコメント
- ●「具体化」と「抽象化」を「フロー」と「ストック」という切り口から著者の思索に深みを増していると感じている。「具体化」、「抽象化」、「フロー」、「ストック」が循環するという主張は目からうろこであった。今年、私が読んだなかでは最も考えさせられた1冊であると評価。(50代・男性)
著者紹介
細谷 功(ほそや いさお)
ビジネスコンサルタント・著述家。株式会社東芝を経て、アーンスト・アンド・ヤングなどの外資系/日系のグローバル・コンサルティングファームにて業務改革などのコンサルティングに従事したのち、独立。近年は思考力や「具体と抽象」に関する講演やセミナーを、企業や各種団体、大学などに対して国内外で実施。著書に、『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』(東洋経済新報社)、『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』(dZERO)などがある。
10 2024年12月号掲載破壊なき市場創造の時代 ――これからのイノベーションを実現する
近年、ビジネスで“ディスラプション”がもてはやされている。ネットフリックス、アマゾン、ウーバーなどは、それで躍進した。だが、企業の破綻や雇用の喪失などマイナス面も大きい。破壊を伴わない手法はないのか? 「ブルー・オーシャン戦略」で知られる世界的経営思想家2人が、敗者を生まない新たな市場創造の道を示す。
著者 | W・チャン・キム、レネ・モボルニュ |
訳者 | 有賀裕子 |
出版社 | ダイヤモンド社 |
発行日 | 2024年10月 |
定価 | 2,530円 |
読者のコメント
- ●若いころ、「ブルーオーシャン戦略」に多大な影響を受けています。当著も同じ作者ということで楽しく読ませていただきました。「非ディスラプティブな手法」はどこにでも転がっていると改めて実感しましたし、ブルーオーシャンと合わせてマーケティングを考えていく上でとても参考になりました。(男性)
著者紹介
W. Chan Kim
INSEADの教授(戦略論を担当)。INSEADブルー・オーシャン戦略研究所の共同ディレクターを兼ねる。ベストセラー、『ブルー・オーシャン戦略』『ブルー・オーシャン・シフト』の著者である。
Renée Mauborgne
INSEADの教授(戦略論を担当)。INSEADブルー・オーシャン戦略研究所の共同ディレクターを兼ねる。ベストセラー、『ブルー・オーシャン戦略』『ブルー・オーシャン・シフト』の著者である。
2024年下半期「TOPPOINT大賞」は、多くの読者の方々にご投票いただいた結果、上掲のようなラインナップとなりました。「TOPPOINT大賞」の発表は、今後も半期毎に行ってまいります。読者の皆様には、ぜひ、積極的にご投票いただき、「一読の価値ある」ベストビジネス書の選考にご協力いただければ幸いです。
【選考方法】
月刊誌『TOPPOINT』の定期購読者を対象にアンケートを実施。本誌2024年7月号~12月号で紹介した書籍60冊の中から、「この本は良かった」「役立った!」と思われる3冊に投票していただいた。1位3点、2位2点、3位1点として集計し、総得点1位の書籍を「TOPPOINT大賞」として選定。併せて、得点順に上位10冊を選出した。
2024年下半期
『TOPPOINT大賞』
書店フェアのお知らせ
2025/1/24
本賞の決定に伴い、丸善ジュンク堂書店・文教堂・未来屋書店の主要大型店45店舗にて「TOPPOINT大賞受賞書籍フェア」を開催いたします。フェアでは、ベスト10冊に選ばれた各書籍を、その書籍の読みどころや読者のコメントを記したPOPと並べて展開。また、大賞を受賞した著者のコメントや本賞の概要を紹介した小冊子(無料)も配布します。開催期間は、2月1日(土)より1ヶ月間の予定です。
開催店舗は下記のとおりです。ぜひお立ち寄りください。