2024年10月号掲載
検証 政治とカネ
- 著者
- 出版社
- 発行日2024年7月19日
- 定価990円
- ページ数192ページ
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著者紹介
概要
自民党の派閥による「政治資金パーティー裏金事件」。その発覚以降、「政治とカネ」問題への関心が高まっている。自民党の政治団体はどのように裏金をつくったのか? なぜそれを防げなかったのか? 長年、この問題を告発し続けてきた憲法学者が、現行法の抜け穴や1994年の政治改革の誤りなどについて検証、問題の本質を抉り出す。
要約
政治家の収入源はどうなっているのか
「政治とカネ」。この問題には、政治家の収入の問題と支出の問題がある。
政治家の収入源
国会議員には、会社員の給料にあたる「歳費」が支払われる。その額は月129万4000円。期末手当を加えると、年収は2000万円以上になる。
この他にも、公費から支給されているものがある。例えば「立法事務費」が月65万円。これは、法案を作成するための調査研究など、公的な活動に必要とされる経費に使途が限定される。
また、「調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)」が月100万円。調査研究や交通費など、国会議員が活動する上で必要な諸経費を賄うものだ。立法事務費と同様、使途は公的な活動に限られているが、この収支については報告する制度がなく、適切な用途に使われたか確かめようがない。
そして「政党交付金(政党助成金)」。毎年300億円超が、受け取りを拒否している共産党を除く政党に配分、交付されている。政党ごとの配分は、所属する衆参の国会議員の数と、衆参の選挙で得た得票数によって決まる。つまり、議席数が多い政党ほど多くのお金がもらえる。
さらに「内閣官房機密費」。内閣官房長官がその目的を逸脱しない限り自由に使える公金で、近年では約12億円。その9割は内閣官房長官が独りで管理しているが、使途や支払いの相手方は非公表のため実態は不明だ。実際には本来の趣旨を逸脱した使い方が横行しているとの指摘もある。
法律で収支報告が義務づけられているが…
このように様々な制度によって政治家の活動は公費で支えられている。そればかりか、各議員や政党、派閥などの政治団体は、寄付やパーティー券収入により、民間からも資金を集めている。
これらのカネは、政治資金規正法や公職選挙法によって収支報告書の提出が義務づけられている。しかし、例えば政治資金規正法はしばしば「ザル法」といわれ、様々な問題を引き起こしてきたことは周知の通りだ。
抜け道だらけの政治資金規正法
では、政治資金規正法とはどんな法律なのか。
政治資金規正法は、政治資金の出入りを透明化することで国民が監視できるようにしようという法律だ。だが、そこには数々の「抜け道」がある。