2024年7月号掲載
フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則
著者紹介
概要
世界は、「フローとストック」と「具体と抽象」の組み合わせで説明できる ―― 。人間社会の変化のメカニズムを読み解くカギ、四象限の「CAFS(キャフス)マトリックス」を紹介する。この新しいフレームワークで個別の事象を単純化すれば、背後にある「構造的な法則」が見えてくる。そして、次に起きる出来事を予想できるようになる!
要約
世界は「フローとストック」からできている
なぜ、人々が快適に暮らしたり、会社などを円滑に機能させたりするためにつくられたはずのルールや規則が、しばしば理不尽な障害となるのか?
なぜ、少し前までは当たり前だった「常識」が陳腐化し、全く別の「常識」に置き換わるのか?
こうした問いは一見、バラバラなものだと思われるかもしれない。しかし、共通する構造的な法則が実は存在している。そして構造的な法則は、個別の事象を抽象度を上げて捉えることで、つまり事象を思い切り単純化して捉えることで、掴むことができるのである。
世の中の大半は「フローとストック」に大別できる
世の中の変化を伴う事象は、基本的には全て「フローとストック」に大別できる。
「フロー」は、「流れ」を意味する。この流れには、水や空気の流れ、人の流れといった「目に見える」流れに加え、お金の流れ、情報の流れ、時間の流れといった「目に見えない」流れもある。
それに対して「ストック」は、「蓄積」「積み上げ」である。こちらも米や石油など「目に見える」ものの備蓄や在庫一般、さらには、お金や情報など「目に見えない」ものの両者に当てはまる。
フローは変化させる側、ストックは変化させられる側
「フローとストック」はそれぞれが独立して存在するものではなく、「お互いの関係性によって成り立ち」「フローがストックを生み出してそれが蓄積されることで世の中が回っていく」という関係になっている。
つまり、フローがあるところにはそこから生まれたストックがあり、ストックがある時にはそのストックの変化をもたらすフローが存在するのだ。
また、フローとストックは「変化」に対するものの見方ともいえる。何らかの変化そのものがフローであるとすれば、その変化がもたらした結果の状態がストックである、という関係だ。
例えば「毎日の行動(フロー)が、経験(ストック)として蓄積される」のように、世の中の事象は、何らかの個別の変化によるプロセスが、ある結果につながるかたちになっている。
数字で表現できる事象はもちろん、人間の全ての活動について何らかの行為の結果として他の何かの状態に変化が生じる事象は、基本的にはこの関係で説明できるといってよい。