2024年9月号掲載

企業変革のジレンマ ――「構造的無能化」はなぜ起きるのか

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著者紹介

概要

必要な変化が生まれず、利益率は下がる一方…。今日、多くの日本企業が抱える問題を掘り下げ、状況を打開するための道筋を示す。キーワードは、「構造的無能化」。組織が考え、実行する能力を喪失し、環境変化に対応できなくなる、というものだ。そのメカニズムを解き明かし、問題を乗り越えるための“対話”の考え方を説く。

要約

企業変革のジレンマにどう挑むか

 1970~80年代、日本企業は大きく成長した。だが今日、日本企業は緩やかな停滞の中にある。

 それは、こうした緩やかな衰退に抗う「企業変革」とは何か、そのような中での企業変革はいかにして可能なのか、などの問題について、正面から議論されたことがなかったからではないか。

組織の複雑な問題を紐解く

 企業変革というと、優れた経営者が明快な方策を講じ、V字回復を果たす様子をイメージする方も多いだろう。しかし、今日多くの企業が直面しているのは、そうした明確な経営危機よりも、不明確な状況にどう抗うかという問題だ。

 本書では、企業変革を次のように考える。

 企業変革とは、経営層、ミドル層、メンバー層によらず、組織に集う1人1人が、考え、実行する力を回復すること、そしてそれぞれが、その企業をよりよいものにしていけるという実感を持てるようになることである。

 だが、企業変革に際して立ちはだかるのは様々なジレンマである。変革は未来から求められるが、私たちは今日の仕事の成果を求められる。

 この綱引きは、放っておけば日々の仕事が常に優先され、未来のための変革は後回しにされる。こうして日々の仕事の正しさを積み重ねることが、やがては未来の衰退を招く。

「構造的無能化」とは何か

 今日の日本企業でよく見られるのは、それぞれの部門や部署で目先の問題解決を繰り返し、徐々に疲弊していく姿である。現在の事業をより効率的に、合理的に実行しようとするために分業化が進み、ルーティンが定まってくることが、結果的に組織内の視点の硬直化をもたらす。

 組織は成熟に向かうプロセスの中で、徐々に外部環境の変化への適応力を喪失していくのだ。

 

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