2000年6月号掲載

「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール

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著者紹介

概要

我々の身の回りには、「分かりにくい表現」が氾濫している。本書は、家電製品の取扱説明書、道路標識、広告等々の分かりにくい表現を例にとりつつ、分かりにくさの原因を突き止める。また、その原因を基に、分かりやすい表現にするためのルールを導き出す。ビジネスの上で重要な、自分の意図を正しく伝えるための技術が満載の1冊である。

要約

「分ける」は「分かりやすい」の原点

 1997年、NTTからナンバー・ディスプレイに関する次のような「おたずね」の葉書が利用者に届けられたが、その解釈に戸惑った人が多かった。

 電話番号の非通知方法を次の2つのうちから、どちらか1つお選びください。

・通話ごと非通知

相手の電話番号の前に184をつけてダイヤルすると、その通話に限り電話番号を通知しません。

・回線ごと非通知

お申し出いただいた回線からの全ての通話について、電話番号を通知しません。…

 サービスの開始にあたり、「通話ごと非通知」か「回線ごと非通知」かを選んでほしい、という趣旨であったが、その意図は利用者には伝わらなかった。その結果、サービスが始まると様々な混乱が起こり、NTTはその収拾に追われた。新聞に謝罪広告を出すなどの出費を強いられたのだ。

 通知文がもう少し「分かりやすい表現」だったら、NTTはこのような無駄な出費をすることはなかっただろう。

 この例に限らず、高機能な家電製品の取扱説明書やパソコンのマニュアル、道路標識など、身の回りには分かりにくいものがいくらでもある。

 世の中には、なぜこのように「分かりにくい表現」が氾濫しているのか?

 「分かる」とは、「情報が脳内で整理されている」という状態を表す。情報を脳内のいわば整理棚にしまうのだ。従って、「分かりやすい表現」とは、「受け手の脳内の整理棚にしまいやすいように情報を送ること」である。

 そして、情報の意味が事前に分けられていると、脳内の整理棚にしまいやすい。つまり、「分ける」は「分かりやすい」の原点なのである。

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