2000年6月号掲載
「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール
- 著者
- 出版社
- 発行日1999年3月20日
- 定価880円
- ページ数189ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
我々の身の回りには、「分かりにくい表現」が氾濫している。本書は、家電製品の取扱説明書、道路標識、広告等々の分かりにくい表現を例にとりつつ、分かりにくさの原因を突き止める。また、その原因を基に、分かりやすい表現にするためのルールを導き出す。ビジネスの上で重要な、自分の意図を正しく伝えるための技術が満載の1冊である。
要約
「分ける」は「分かりやすい」の原点
1997年、NTTからナンバー・ディスプレイに関する次のような「おたずね」の葉書が利用者に届けられたが、その解釈に戸惑った人が多かった。
電話番号の非通知方法を次の2つのうちから、どちらか1つお選びください。
・通話ごと非通知
相手の電話番号の前に184をつけてダイヤルすると、その通話に限り電話番号を通知しません。
・回線ごと非通知
お申し出いただいた回線からの全ての通話について、電話番号を通知しません。…
サービスの開始にあたり、「通話ごと非通知」か「回線ごと非通知」かを選んでほしい、という趣旨であったが、その意図は利用者には伝わらなかった。その結果、サービスが始まると様々な混乱が起こり、NTTはその収拾に追われた。新聞に謝罪広告を出すなどの出費を強いられたのだ。
通知文がもう少し「分かりやすい表現」だったら、NTTはこのような無駄な出費をすることはなかっただろう。
この例に限らず、高機能な家電製品の取扱説明書やパソコンのマニュアル、道路標識など、身の回りには分かりにくいものがいくらでもある。
世の中には、なぜこのように「分かりにくい表現」が氾濫しているのか?
世界に誇る品質管理技術で成功した日本は、「物品の品質管理」には厳しい国だ。しかし、情報伝達の技術、つまり「表現の品質管理」には、これまで注意が払われてこなかったのである。
「分かる」とは、「情報が脳内で整理されている」という状態を表す。情報を脳内のいわば整理棚にしまうのだ。従って、「分かりやすい表現」とは、「受け手の脳内の整理棚にしまいやすいように情報を送ること」である。
そして、情報の意味が事前に分けられていると、脳内の整理棚にしまいやすい。つまり、「分ける」は「分かりやすい」の原点なのである。