2001年7月号掲載
ロジカル・シンキング
著者紹介
概要
「あうんの呼吸」に代表される日本独特のコミュニケーション。その対極にある、論理的なコミュニケーション・テクニックをわかりやすく解説した1冊である。経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーのコミュニケーションの専門家が、「論理的なメッセージを伝えることによって、相手を説得して、自分の思うような反応を相手から引き出す技術」を指南する。
要約
話す前に必要なことは何か?
どんなビジネスであれ、コミュニケーション抜きでは成り立たない。上司、部下、顧客…、様々な利害関係者を説得し、自分の思うような反応を相手から引き出すには、「論理的なメッセージ」をうまく伝える必要がある。
だが現実を見ると、少なからぬビジネスパーソンが「論理的に話すよう努めているのに、自分の考えがうまく相手に伝わらない」と嘆いている。
では、自分の言いたいことを相手に理解してもらうにはどうすればよいのか?
それにはまず、自分の言いたいことが、相手にとって、「メッセージになっているかどうか」のチェックが必要だ。メッセージとは、次の3つの要件を全て満たすものである。
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- ①「課題(テーマ)」が明確であること
- ②その課題に対して必要な要素を満たした「答え」があること
- ③「相手に期待する反応」が明らかであること
例えば、あなたが人の話を聞いた時、課題はこれで、それに対する相手の答えはこれで、自分にこうしてほしいと言っている、ということがはっきりしているかどうか。これらが、自分の頭の中に明確に残らなければならない。
相手を論理的に説得するには、常にこの「3つのメッセージの定義」に戻るよう心がけ、
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- ・課題(テーマ)を確認する
- ・相手に期待する反応を確認する
という2つの確認作業を行う必要がある。
前者については、常日頃から、他者への説明に入る前に「今日の課題(テーマ)は何か?」「これから説明するのは○○という課題についてだな」と、課題を確認する習慣をつけるようにする。
後者はつまり、“相手にどうしてほしいのか、どんな反応を引き出したいのか”を確認する作業である。
例えば、上司とミーティングを行う際、ミーティング終了後に上司から「あなたの言ったA、B、Cという選択肢の中では、私はBがよいと思う」という答えを引き出そうと考えてからミーティングに臨むのと、そうでないのとでは、説明の中身も、その成果も大きく違ってくるはずである。
以上の2つの確認作業を行って初めて、「答え」の中身を考える段階になる。