2003年3月号掲載

会計トリックはこう見抜け

Original Title :Financial Shenanigans

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著者紹介

概要

本書は多数の会計粉飾の実例を取り上げ、その“会計トリック”の方法を分析・分類したものである。これらの粉飾事例を見ると、あの手この手の粉飾テクニックのオンパレードに、妙な“感動”すら覚えてしまう。もちろん、不幸にしてこれらの企業に関わった投資家や金融機関にすれば怒り心頭だろう。そんな思いをしないためにも、本書は必読だ。

要約

会計トリック7つの手法

 2001年11月8日、エネルギー大手のエンロンは、1997年度から2000年度までの財務諸表を修正すると発表した。この事態を受けて、調査のための特別委員会が設置され、調査の結果、損失は10億ドル以上にも上ることが明らかとなった。

 そして01年12月2日、エンロンは米国史上最大の破産申請を行った ―― 。

 1995年から99年にかけ、ダウ・ジョーンズ工業株平均は5年連続で年20%の上昇を続けるという、空前の記録を残した。また、ナスダック指数は99年だけで94%も上昇した。

 しかし、こうした株価上昇の裏で、ほとんどの投資家が気づかないうちに、財務会計に関するごまかしと詐欺が行われていたのである。

 バンク・オブ・クレジット・アンド・コマース・インターナショナル、ドラッグチェーンのファール・モール、小売業のレスリー・フェイ、ソフトウエア企業のマイクロ・ストラテジー…。

 今日、名の知れ渡ったグローバル企業から無名の小企業に至るまで、あらゆる規模の企業が“会計トリック”に手を染めている。

 投資家などの利害関係者をあざむくために用いられる、そうした会計トリックの手口は、次の7種類に分類することができる。

①早すぎる収益の計上

 財務粉飾のうち最も一般的なものは、「収益の早すぎる計上」である。具体的には、「将来のサービスがまだ提供されていない時点で収益を計上する」というトリックがよく使われる。

 その結果、前年の40倍近くもの売上を計上することになったが、これは“将来の収益”を当期に計上しただけのことである。

 この他、「製品の出荷前に収益を計上」したり、「顧客が製品の返品が可能な時点で収益を計上」するなどのトリックが使われることがある。

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