2005年5月号掲載
プロカウンセラーのコミュニケーション術
著者紹介
概要
ロングセラー書として現在も売れ続けている『プロカウンセラーの聞く技術』『プロカウンセラーの夢分析』(共に創元社刊)の著者による最新刊。優れたコミュニケーションの取り方が、臨床心理学の視点も含めて解説されているので説得力がある。話し方、コミュニケーションに関する類書は多いが、その中でも本書はお薦めの1冊。
要約
プロの聞き方・話し方とは?
伝わらないと腹が立つ。受け入れられないと寂しくなる。合わせすぎると虚しい。——とかく難しいのが、コミュニケーションである。
では、コミュニケーションのプロであるプロカウンセラーは、どんなことに注意して話を聞き、発言しているのか?
屁理屈の陰に本心あり
理屈に合わないことを言われると、誰しも腹が立つ。この場合、屁理屈を言っている相手が自分と関係のない人なら、放っておくのが最善だ。やがて皆から嫌われて、いなくなる。
だが、放っておくことができない場合がある。
例えば、あなたが資料作りをB君に任せていたとする。前日に確認したところ、B君は「忙しかった」などと、できない言い訳ばかりする。
誰に任せても、時間的に無理なものなら、無理をさせたあなたに責任がある。
もし誰でもやればできる仕事なのにB君ができないという場合なら、彼の能力に問題があるか、あなたに対する彼の反抗である。
一番厄介なのは、B君が反抗心をもっている場合である。意識的か無意識的かはわからないが、B君はあなたが困ることを望んでいるのだ。
「言った方は水に流すが、言われた方は岩に刻む」という格言があるように、人間は他人の言動には敏感だが、自分の言ったことには鈍感である。
知らず知らずのうちに、自分の言動がB君の心に反抗を生んでいないかを考えてみる必要がある。
B君の責任だと切り捨てるのは簡単だ。だが、それだと、自分の人格の成長はそこで止まる。B君を理解し、彼も、自分も満足する道を発見できたら、このピンチを真に乗り越えられるのである。