2005年9月号掲載
実りある会議・ミーティング 「話し合い」の新技術
著者紹介
概要
ファシリテーション、ファシリテーターなる言葉をよく目にするようになったのは、ここ2、3年のことではないか。会議やプロジェクト活動を円滑に進める技術、それを実施する人のことだが、悪名高き日本の“実のない会議”を変えるべく、脚光を浴びている。そのプロのファシリテーターである著者が、実りのない話し合いを劇的に変える「7つの原則」を紹介する。
要約
話し合いを成功に導く7つの原則
話し合いには2つのタイプがある。「親和的な話し合い」と「問題解決のための話し合い」だ。
前者は、感情を交流させる話し合いで、親子、夫婦などのたわいもない会話をその典型とする。一方、後者は、組織や会社で行われるものだ。
問題解決のためには、話し合いによる「合意形成」が重要になる。それが成功したか否かは、次の3つの基準により判断できる。
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- ①成果と満足感の両方が達成できたか
- ②問題の核心を見つけ出せたか
- ③実行につながる結論を出したか
話し合いの意義は2つある。1つは、色々な角度から意見を出し合うことで、問題解決の成果を高めること。もう1つは、意思決定のプロセスに関係者が参加することによって、結論に対する受容性(納得性)を高めることだ。
問題解決の「成果」と、合意形成への「満足感」、この2つの要素を同時に満たさなければ、話し合いは成功したとはいえない。
また、本質的な論点を見つけ出せたか、実行して意味がある結論を出したかということも、話し合いの成否をはかる基準となる。
これらの基準を満たし、話し合いを成功させるには、次の「7つの原則」に従うことである。
第1の原則:話し合いの「内容」と「進行」を分ける
話し合いには、「内容(What)」と、「進め方(How)」という2つの要素がある。
うまくいかない話し合いを見ると、皆で何かを決めるというよりは、リーダーの判断を皆で助ける意味合いが強い。自分の判断の正否を、リーダー自身が検証するために、議論させるのである。
そうすると、必然的に、リーダーが内容を決める力(議事決定権)と進め方をコントロールする力(議事進行権)の両方を持つようになる。
1人の人間が内容と進め方の両方をリードすると、メンバーの納得感が大きく下がってしまい、結論を実行する気にならなくなる。