2005年10月号掲載
団塊世代を総括する
著者紹介
概要
団塊世代の定年退職が間近に迫っている。戦後日本を担ってきた彼らの人生を総括すると、この世代が現代日本の姿にいかに多くの光と影を落としているかがわかる。本書はそうした団塊世代の半生を、懐かしい時代背景とともに振り返り、その上で彼らが定年後をどう生きるべきかについても言及する。そこで著者が提示する道とは ―― 何と「起業」である!
要約
団塊世代とは何か?
団塊世代が生まれて、すでに55年が過ぎた。その55年は、敗戦から復興、高度成長、オイルショックを経ての低成長、バブル、そして失われた10年という、日本の社会の変転とともにあった。
従って、団塊世代を語ることは、日本の戦後を語ることに他ならない。また、これからの日本を考える上でも、団塊世代は大きな意味を持つ。
大きな社会的影響力を持つ世代
団塊世代は、その大量さゆえに、常に大量消費社会の担い手であった。例えば、少年時代には『少年マガジン』『少年サンデー』など週刊漫画雑誌の創刊を支えた。高校時代にはVAN、アイビーなどのファッションが流行。1966年にはビートルズが来日し、グループサウンズ・ブームが起きた。
70年代に入ると結婚、出産のブームを起こす。「ニューファミリー」と呼ばれる家庭を築いて、郊外にマイホームを買い、ファミリーレストランやファストフード店に行く…。そうしたライフスタイルを完全に定着させた。
それはまさに、戦後の高度経済成長が求めた「豊かさ」を、具体的に示すことであった。
このニューファミリーの中で生まれ育ったのが、世に言う団塊ジュニアだ。彼らはこの10年間、常に流行・風俗の主役だった。コギャルも、iモードブームもこの世代が中心だった。
しかし今、彼らはフリーター、パラサイトシングル、就職難などの社会問題の中心となっている。
団塊世代はその膨大さゆえに、子供の数も膨大であり、社会や経済に対して非常に大きな影響力を持ち続けたのである。
アメリカに洗脳された世代
戦後日本の豊かさのモデルは、アメリカにあった。芝生のある庭、一戸建て住宅、大きな自動車…。進駐軍の暮らしや映画・テレビなどを通して流布された豊かなイメージが、敗戦直後の日本人にとって目指すべき理想の生活像になった。
そして実際、我々の生活は随分アメリカ的になった。日本中に張り巡らされた道路網、ロードサイドにはレストランやディスカウントストア…。
ルイ・ヴィトンやシャネルのバッグを売る店は、どんな山の中にもある。世界中から輸入された物が、地方の田畑をつぶしてできたショッピングセンターにもあふれているのだ。