2006年8月号掲載

「中興の祖」の研究 組織をよみがえらせるリーダーの条件

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著者紹介

概要

ビジネスの世界だけでなく、政治の世界でも行政でも、「改革」が求められている。だが、一部の例外を除けば、お世辞にも改革がうまくいっているとは言い難い。なぜなのか? 改革を成し遂げるには、何が必要なのか? その答え、すなわち「組織をよみがえらせるリーダーの条件」を、「中興の祖」と呼ばれる歴史上の人物の言動から学ぼうというのが本書である。

要約

“中興の祖”の責務

 中興とは、「一度衰えたものを再び盛んにすること」である。

 日本の歴史上、「中興の祖」といわれた人物はたくさんいるが、その中には失敗者もいる。例えば、“建武の中興”を実現した後醍醐天皇だ。

 建武の中興の目的は、源頼朝以来武家の手に移った政治的主権を、再び公家(天皇をはじめとする朝廷)の手に取り戻すことだった。

 そして、足利尊氏や新田義貞などの協力によってこれが実現したが、数年足らずでその土台が崩れてしまう。それは、「協力した武士たちへの恩賞配分」が不公平だったからである。

 これはつまり、中興の祖が持つべきリーダーシップには、「成功後の論功行賞」の公平さが求められるということだ。

 そして、それにも増して大事なことがある。それは「説明責任」である。

 説明責任とは、単に説明するということではない。「関係者を納得させる」ことが大事だ。納得させるということは、「参加者が喜んでその事業に参加する」ということであり、喜んで参加するということは、参加者が「自分のモラール(やる気)を起こし、さらにそれを高める」ことである。

 「モラールを高める」には、次の条件が必要だ。

  • ・痛み(負担)だけでなく、参加することに喜びとやりがいを感じること
  • ・参加者が参加意識・寄与度・貢献度を自覚できること
  • ・論功行賞が公平で納得できること
  • ・夢(理念)があること
  • ・目的がわかりやすいこと
  • ・分担と全体の関わり(トップ、ミドル、ローの3層の役割分担)がはっきりしていること

などが求められる。

 “中興の事業”においては、これらのことが全て基礎に据えられなければならない。すなわち、トップが最初に作った大きな岩の中に、「やりがいと喜び」が隅々までちりばめられ、現場で従業員が「よし、やってやるぞ」と自分で自分を励まし得るような成分が潜んでいなければならない。