2008年6月号掲載

コア事業進化論 成長が終わらない企業の条件

Original Title :Unstoppable

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著者紹介

概要

経営環境の変化が激しくなるにつれ、コア事業、すなわち本業がますます短命化している。どうすれば、それを再生、刷新できるのか?  多くの企業が抱えるこの課題に、具体的な処方箋 ―― 著者の属するコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーが、先進国8400社の業績を15年間追跡調査したデータなどから抽出した、戦略転換の成功法則を提示する。

要約

企業永続の条件とは?

 デビアスは、世界中のダイヤモンドの供給を支配し、価格を維持して利益を守ってきた。

 だが、その成功は1999年までに終焉を迎える。市場の成長率がマイナスに転じ、利益率がゼロ近辺まで落ち込んだのだ。

 経営陣は、これまで1世紀の間続けてきた供給を管理するという戦略を続けても、危機を乗り越えられないと判断した。そして彼らは、「十分には活用されていない顧客資産」の中に、答えを見つけられるかもしれないと考えた。

 その顧客資産とは、デビアス・ブランド、顧客からの評判、宝石を供給し続けてきた実績などだ。

 同社は、これらの隠れた資産を重視する戦略に転換し、個人への販売チャネルの開拓、新しい宝石のデザインなど、各顧客セグメントに一層近づくための新たな方法に投資した。

 例えば、男性用のダイヤの指輪、女性用の右手指にはめる指輪(独立の象徴として女性が自分で購入するダイヤの指輪)などの新製品を開発した。

 そして、デビアスは大成功を収めた —— 。

 デビアスが直面した問題は、決して珍しいものではない。事業環境が激変する今日、多くの企業が戦略を転換する必要性に直面している。

 何十年もうまく機能していた戦略に終止符が打たれるような、根本的な構造の変化に直面する時、競合企業との合併、急成長市場への参入など、選択肢はいろいろある。

 だが、極端な戦略をとった場合の成功の確率は極めて低い。AOLによるタイムワーナーの買収のような大規模な事業転換の成功確率は、せいぜい5〜10%である。新しい急成長市場に飛び込む場合の成功確率も10〜15%程度だ。