2008年6月号掲載
政治と秋刀魚 日本と暮らして45年
- 著者
- 出版社
- 発行日2008年4月21日
- 定価1,760円
- ページ数261ページ
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著者紹介
概要
1964年、東京オリンピックが開催された年に初来日。その後、“知日派”の学者として活動を続けてきた米国人の著者が、歴代の首相や政治家たちと交流する中で見た、日本政治の強みや弱みを描く。この40年余りの間、日本はどのように変わってきたのか。他の先進国とどこが似ていて、どこが違うのか…。我々日本人に、多くの気づきを与えてくれる1冊である。
要約
「知日派」学者が見た日本
1964年に、初めて日本の土を踏み、以降、日本を専門に研究する比較政治学の学者として40年以上、日本を見続けてきた。
この間、日本の経済、社会、政治は様々に変化した —— 。
「遅咲き」に対する日米格差
英語に、遅咲きを意味する「レイト・ブルーマー(late bloomer)」という言葉がある。
本来の意味は、もちろん花のことだが、人間も遅れて咲くことがある。どんな道を歩むかを決めるはずの「季節」に遅れ、二転三転してやっと決めるのが遅咲きだ。
どういう仕事が自分に一番向いているのか悩んでいる人、あるいは自分の世界を広げるために冒険したい人、そんな人たちも遅咲きに入る。
米国では、教育制度や企業など社会がこういう遅咲きに寛容である。これは米国の強みだ。
米国の場合、大学に入る時、専攻を決めない。まず2年間、一般教養科目を勉強して、いろんな刺激を受けた上で、3年生になって専攻を決める。
大学を卒業してもすぐに就職しないで、しばらく好きなことをやるのが米国では普通だ。今までと違う経験をすることによって、将来は何をしたいのかがよりはっきりと見えてくる。
こんな経験を積んだ若者は、大企業から見れば、大学を卒業したばかりの学生よりも大人になっているし、人生経験があるから魅力的だ。
対照的に、日本では卒業してすぐに安定した職業に就こうとしない若者は、「頼りにならない人間」とみなされ、一流会社では歓迎されない。
90年代の「失われた10年」以降、日本の若者の中に、時間をかけても自分の歩みたい道を探したり、自分に合わないと思えば会社を辞めてやり直そうとしたりする青年が増えてきた。