2009年9月号掲載
マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?
Original Title :WAR IN THE BOARDROOM
著者紹介
概要
マネジメントの多くは、論理的・分析的に考えるのが得意な「左脳型」である。一方、マーケターの多くは、直感的・総合的に考えるのが得意な「右脳型」だ。そんな両者の発想の特徴を、意見が対立しがちな25のテーマに沿って解説する。とりわけマネジメントの人間にとっては、マーケティングにおける右脳の発想の大切さを痛感させられる1冊だ。
要約
「利き脳」が生む対立
人間の脳は、左右2つに分かれている。
左脳は言語で物事を考え、直列的に情報を処理する。その考えは、直線的で、秩序立っている。
右脳はイメージで物事を捉え、並列的に情報を処理する。その思考は全体像を見ることができる。
腕に右利きと左利きがあるように、脳にも右利きと左利きがある。
大会社のCEOなら、左利きに違いない。判断を下す時、事実や数字などによる裏付けを得たいと考えるはずだ。決算や株価で手腕を評価される世界に身を置いていれば、そうせざるを得ない。
マーケティングの人間なら、きっと右利きだろう。こちらはしばしば勘で判断を下す。創造性を求められる世界では、そういう判断が欠かせない。
こうした違いから、役員室では、マネジメント側とマーケティング側の対立が起きる ―― 。
「現実」に取り組むか「認識」に取り組むか
マネジメント人間は事実や数字に着目し、問題解決を図ろうとする。目指すのは「原因を突き止めること」。つまり、現実に取り組もうとする。
マーケティング人間は専ら認識に取り組む。彼らが着目するのは消費者の心の動きだ。認識は数値にはしにくいので、直感的、総合的に判断する。
フォルクスワーゲンは2003年、高級車フェートンを市場に投入した。この車は、批評家から「最高の出来栄え」などと絶賛された。
ところが最近、フェートンの米国市場からの撤退が発表された。売れなかったのだ。