2009年10月号掲載
日経新聞の数字がわかる本 「景気指標」から経済が見える
著者紹介
概要
毎週月曜日の日経新聞の朝刊。その真ん中辺りの紙面に、様々な景気指標が掲載されている。例えば、国内総生産(GDP)、完全失業率、企業倒産件数などだ。他にも、国内外の経済状況を分析する上で欠かせない指標が多数あり、まさに「宝の山」である。この景気指標欄を長年にわたりチェックし続けてきた著者が、景気指標から経済の動向を読み取るコツを伝授する。
要約
「景気指標欄」は宝の山
月曜日の日経新聞ほど安いものはない。なぜなら「景気指標」という宝の山が載っているからだ。
景気指標を継続的に見ていると、日本や世界の経済状況が手に取るように見えてくる ―― 。
GDPを読み解く
景気指標欄の左半分の「国内」欄は、「国内総生産」(GDP)から始まる。なぜなら、これが一番重要な数字だからだ。
GDPは「ある地域で、ある一定期間(1年間)に生み出された付加価値の総額」と定義できる。
この数字がなぜ一番重要なのかは、付加価値の中味を考えてみればわかる。
実は、GDPという付加価値のかなりの部分を占めるのは、人件費だ。大雑把に言えば、GDPの増減は我々の給料の増減を意味する。GDPが増えないと給料も増えない。だから、GDPは重要なのだ。
GDPは作り出された付加価値の合計を表すが、逆から見れば、それを買う側が存在する。
買う側は、次の3つに大別できる。「民間の消費と投資(民需)」「政府の消費と投資(政府支出)」「輸出と輸入の差(貿易収支)」である。
このうち、一番ウェイトが大きいのが民需だ。中でも重要なのが「家計の支出」で、GDPの55%強を支えている。
この家計の支出動向を表すのが、景気指標欄の「消費支出 2人以上世帯」である。全国の約8000世帯を対象に、1世帯当たりの毎月の支出額を計算し、前年比の増減率(%)で示したものだ。
その数字は2008年、09年とずっとマイナスが続く。つまり、家計の支出がどんどん減っている。