2010年2月号掲載
つい、相手も話す気になる! 「聞き出す」技術
著者紹介
概要
ビジネスや生活において、相手のホンネを上手に引き出すことが必要になる場面がある。そんな時、相手が言いたくないことまで言わせてしまうテクニックとは? 数多くの企業で「聞く技術」の研修を行ってきた心理学者が、話しやすい雰囲気作り、しぐさ、効果的な言葉がけ(コメント)、質問力の磨き方など、信頼関係を壊さずにホンネを聞き出す技術を伝授する。
要約
「聞き出す技術」とは?
人の話を「聞く」のは難しいものである。
例えば、あなたが部下に今年の目標を尋ねたとする。この時、すらすら話せる者もいれば、目標はあるがうまく言葉にできず、口ごもる者もいる。
口下手な人と話す時は、相手の言葉を待つだけでは期待する返事を得にくい。聞く技術よりも1つレベルが高い、「聞き出す技術」が必要になる。
では、それはどのようなものか?
聞き出す技術というと、真っ先に「質問力」が思い浮かぶかもしれない。確かに適切な質問ができないと、こちらが求める答えを得られないが、質問力だけでは不十分である。
例えばあなたが上司から、「会社に対する不満や要望について率直な意見を聞きたい」と呼び出されたとする。だがその場所が、話し声が外に漏れる、周囲をパーテーションで仕切っただけの応接ルームなら、本音を話す気にはなれないだろう。話を聞き出すには、「雰囲気づくり」が大切だ。
また、こちらが話している時、上司が全く目を合わさなかったら、「話を聞いてくれているんだろうか」と不安になる。話を聞き出すには、うなずきなどの「しぐさ」にも気を配る必要がある。
さらに、上司が自分の答えに対して何のコメントも返さなかったらどうか。「この人は、自分の話に同意をしてくれてないんじゃないか」と疑心暗鬼になるはずだ。これでは本音を話す気になれない。ゆえに、「コメント力」も不可欠だ。
この雰囲気づくり、しぐさ、コメント力の3つをクリアした上で、そこに質問力が加わる時、初めて「相手から話を聞き出すための条件が整った」といえるわけである。
話を聞き出す「雰囲気づくり」
では、まず雰囲気づくりから見ていくと、そのポイントとしては、例えば次のようなものがある。