2010年5月号掲載
商品よりも、ニュースを売れ! 情報連鎖を生み出すマーケティング
著者紹介
概要
話題にならず姿を消す商品がある一方、メディアに取り上げられてヒットする商品がある。両者の違い、それは後者には顧客の心をつかむ「ニュース」があることだ。しかもそれは一過性のものに終わらず、ニュースがニュースを呼ぶ「情報連鎖」を起こし、話題に上り続ける。こうした動きはどうすれば起こせるのか、情報連鎖の概要、およびその仕掛け方を紹介する。
要約
「情報連鎖」を起こせ!
人々の心理と消費行動は、マスメディアによる報道の影響を受ける場合が多い。
例えば、テレビで「効果的な○○ダイエット」といった番組が放送されると、小売店では番組で紹介された商品が一時的にとてもよく売れる。
そして、報道された情報が他のメディアにも取り上げられると、その商品の売れ行きはさらに高まり、いわゆるブームとなる。
このように、価値ある1次情報が流され、それが新たな情報を生み出して多くのメディアに紹介され、口コミで広がり、情報が継続的に発信される一連のプロセスのことを、「情報連鎖」と呼ぶ。
では、情報が連鎖する企業や商品とは、どのようなものか。
「面白いな~」「そんな商品があるの!」。テレビや新聞・雑誌で紹介されるには、視聴者や読者が、こんな気持ちになるコンテンツが欠かせない。
紹介される企業や商品には、報道されるだけの情報資源がある。その共通項は、次の通りである。
①企業や商品にストーリー性(物語性)がある
NHKの人気番組「プロジェクトX」。この番組が成功したのは、商品などのモノの紹介にとどまらず、関わった人の「物語」が紹介されたからだ。
価格・商品名・機能といった細切れ情報はあまり記憶に残らないが、それが物語になると、誰もが容易に記憶することができる。
特に、放送時間に制約のあるテレビのニュース番組では、短時間でも視聴者の興味を引き、記憶に残る、強いストーリー性の有無が問われる。
単発に終わる報道と情報連鎖を生み出す情報。その差は、「細切れ情報」か「ストーリー性のある情報」かによって決まる。