2010年11月号掲載
ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業
Original Title :DIFFERENT
著者紹介
概要
原著のタイトルは「DIFFERENT」。商品やサービスの「差別化」とは何かについて説いた書である。多くの企業は、市場調査の分析や競合他社との比較を行い、自社の商品・サービスの弱点を見つけ、改善する。だがこの努力は、他社と似た商品を生み出すだけで、差別化には結びつかない ―― 。本書はこう指摘し、消費者の心をとらえる差別化の方法を示す。
要約
私たちが陥っている「競争」の正体
今日、シャンプーやスニーカーといった日用品を買いに行くと、選択肢の多さに驚かされる。
だが、数こそたくさんあるが、それらの製品には、違いがほとんどない。
ビジネスの成功の要は、競争力にある。競争力とは、競合他社といかに差別化できるかである。
ところが、その差が細かくなりすぎると、差別化は無意味になる。
今や各社の製品の違いは小さくなり、類似性ばかり目に付く。周囲を見ても、ユニークさで傑出したブランド名を挙げるのは難しい。
なぜ、このような事態に陥っているのか。
市場調査が、均質化を生む
企業は、ツールを使って製品やブランドの本質を洗い出し、理解しようとする。
例えば、「ポジショニングマップ」。このお馴染みの手法では、消費者に製品の認知度を尋ね、結果をプロットし、マトリックスを作る。
パソコンなら、価格や機能、重さなどの尺度を用いてマップを描く。同じカテゴリーのあらゆる製品を1つのマップに落とし込むことで、自社製品と他社製品の強みと弱みを比較できる。
だが、相違点が見えると、おかしな現象が起こる。強みを伸ばすのではなく、一番弱い部分をてこ入れしようとする ―― 互いの違いを際立たせるのではなく、解消しようとするのだ。
この傾向は、どのカテゴリーでも見られる。