2011年5月号掲載
なぜ「高くても売れる」のか 平田牧場・吉田カバンのプレミアム仕事術
著者紹介
概要
200円台の牛丼、850円のジーンズ等、デフレ時代の今日、安売り一辺倒の傾向が続く。そんな中、高価格帯の商品展開で、多くのお客に支持される会社がある。“日本一高い豚肉”を売る「平田牧場」と、老舗バッグメーカーの「吉田(吉田カバン)」だ。なぜ高くても売れるのか? 本書は、両社の活動を掘り下げ、売れない時代にお客を呼び込むための秘訣を探る。
要約
高値でも支持される会社
先の見えない不況を反映して、「セール」や「安売り」の文字を目にしない日はない。
だが、果たして、買う側は安さだけを求めているのだろうか?
「日本一高い豚肉」を次々に購入
「平田牧場 本店」。山形県酒田市の中心街から少し離れた場所にあるこの店は、養豚の生産から食肉販売、加工肉の製造・販売を一貫して手がける、(株)平田牧場の直営の物販店である。
この店の豚肉は、スーパーで売られる豚肉とは値段が違う。店の看板商品の1つ、「平牧三元豚みそ漬け」は1袋(80g)450円。最も高級な「平牧純粋金華豚 ヒレブロック」は100gで1400円、「日本一高い豚肉」といわれる。
にもかかわらず、お客は平日で270~300人、ゴールデンウィークでは500人ほどになる。週末には、首都圏ナンバーのクルマも多い。
徹底して「日本製」にこだわるバッグ
「クラチカ ヨシダ」という名のバッグ販売店が、東京の渋谷区神宮前と千代田区丸の内にある。
この2つの直営店を運営するのが(株)吉田 ――「ポーター」や「ラゲッジ レーベル」ブランドで知られる「吉田カバン」だ。学生から年配ビジネスマンまで、幅広い世代に支持されるバッグメーカーである。
2つの直営店以外に、国内19店舗、香港2店舗と台湾3店舗の提携店がある。この他、各地の百貨店やバッグ店にも商品を卸している。
店内に展示している吉田カバンの商品は全て日本製。同じブリーフケースでも中心素材にナイロンやポリエステルを用いた1万5750円(税込、以下同)の商品から、本革を使った6万5100円の商品まで、素材や作りによって価格も幅広い。
バッグの原材料は世界各国から調達するが、創業以来、裁断・縫製は全て国内の熟練職人が行う。
量販店では中国製や東南アジア製の格安バッグが1000円程度から並ぶ中、価格に見合う価値に納得したお客からの高い支持を得ている。