2011年7月号掲載
ロイヤルティリーダーに学ぶ ソーシャルメディア戦略 ロイヤルカスタマー進化論
著者紹介
概要
顧客の中でも、特にロイヤルティの高い顧客、「ロイヤルカスタマー」が企業の業績に与える影響は大きい。商品を購入するだけでなく、口コミによって商品を推奨し、建設的な意見を提供してくれる彼らは、企業にとって重要なパートナーだ。本書では、このロイヤルカスタマーをソーシャルメディアの活用によって育む方法を、各種の成功事例とともに紹介する。
要約
ロイヤルカスタマー育成シナリオ
企業のマーケティング活動は、「アクイジション(新規顧客獲得)」と「リテンション(顧客維持)」の2つに大別される。
従来は、リテンションよりアクイジションに力が注がれてきた。だが、新規顧客を獲得するには宣伝広告費、販促費等、かなりのコストがかかる。
特に近年、GDP実質成長率が伸び悩み、人口減少時代を迎えた国内市場では、アクイジション中心のマーケティングは難しい。収益性を高めるには、既存顧客の維持率の向上を考えざるを得ない。
そして、その既存顧客の中でも、特に重要なのがロイヤルティの高い「ロイヤルカスタマー」だ。
ロイヤルカスタマーが企業にもたらす経済的価値は、「購買価値」「口コミ価値」「情報価値」の3つに分けることができる。
購買価値とは、継続的に商品を購入してくれたり、別の商品を購入してくれることである。
口コミ価値とは、口コミによる推奨のこと。
情報価値とは、建設的フィードバックのことだ。ロイヤルカスタマーは、企業やブランドに対して「もっとこうしてほしい」といった要望を、建設的な形で提供してくれるありがたい存在である。
このようにロイヤルカスタマーが企業にもたらす価値を包括的に捉えてみると、彼らが企業の業績に与える影響がいかに大きいかが理解できる。
では、どうすればロイヤルカスタマーを育成できるのか。そのステップは、次の5つからなる。
①ロイヤルティを把握する
ロイヤルカスタマーを育成するには、現状のブランドに対する顧客ロイヤルティを把握することが先決となる。