2011年9月号掲載
中国人にネットで売る! 2つの“ネット”の正しい使い方、つくり方
著者紹介
概要
今、中国市場で成功する上でカギとなるもの。それは「インターネット」と「人のネットワーク」、2つの“ネット”の活用だと、日系企業の中国進出をサポートする著者はいう。ネット人口は4.7億人と世界一、そして成長著しいインターネット通販市場。こうした状況を踏まえ、いかにすれば中国ビジネスで成功できるか、そのノウハウを各種事例を交えて解説する。
要約
膨張する中国の消費パワーをつかむ
中国進出を考える日本企業の多くは、中国の富裕層をターゲットに戦略を考えている。だが、富裕層の消費の実態を必ずしも正しく捉えていない。
中国の富裕層には様々なタイプがあり、米国帰りで新しい価値観を持った30代もいるが、多くは炭鉱を持っていたり、政府とコネを持って不動産取引をしていたりするような伝統的な富裕層だ。
彼らにとってステイタスを満たすものは、日本製品よりも欧米のブランド製品である。
車ならBMWやメルセデス・ベンツ。化粧品ならエスティローダー。彼らは、欧米の高級ブランドをステイタスというポジションで捉えている。
ボリュームゾーンの中流層を狙え
では、日本製品はどういうポジションなのか。
中国における日本製品は、アジア人の体質や肌に合うとか、費用対効果が高いとか、安全とかエコであるとか、そんなポジションで語られている。
これに関心を持っているのは、富裕層だけではない。もっとボリュームの大きい中流層もそうだ。
つまり、日本企業が中国でボリュームの大きい商売をしようとするなら、富裕層だけでなく中流層のことをもっと理解すべきだ。
中国の代表的な中流層は、大卒の公務員、学校の教員、中堅サラリーマンといった層である。
ホワイトカラー、公務員、学校の教員などの中流層を合計すると、全就業人口(7億7000万人)の26%を占め、ざっと2億人の規模になる。結婚して家族がいる、いわゆる中流層世帯に入る人口は、4億人はいるといってもおかしくない。
中国の中流層人口と中国のネット人口は、ほぼ一致している。中国のネット人口は2011年3月末に、すでに4億7000万人を超えた。