2011年12月号掲載
プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中 「決まる!」7つの交渉術
著者紹介
概要
著者はM&A(企業の合併と買収)の仲介・アドバイザリーの業界で、日々、億単位のお金が動く交渉を行っている人物。そんなビジネス交渉のプロ ――「プロフェッショナル・ネゴシエーター」が自らの経験を踏まえ、交渉の極意を伝授する。交渉力を決める7つの要素、売り手・買い手の立場に応じた価格交渉術など、すぐに使えるビジネス交渉の技法が満載!
要約
交渉力の7つの源泉
私は、M&A(企業の合併と買収)の仲介・アドバイザリーの業界で仕事をしている。
この業界は、まさにプロフェッショナル・ネゴシエーターの世界だ。年中、億単位のお金が動く交渉を行い、基本的には交渉が不成立だと報酬はもらえない。まさに交渉で生計を立てている。
そんな世界で無我夢中で仕事をするうち、いつしか交渉のコツのようなものが身についた ―― 。
* * *
よく「○○さんは交渉力がある」という言い方をする。この交渉力とは、強気で交渉できること、つまり譲歩する必要がない状態のことだ。
では、交渉力を決める要素は何か?
それは、次の7つである(括弧内は、恋愛中の男女になぞらえたレトリック)。
①合意をしたいと思う温度差(惚れた方が弱い)
自分と交渉相手、それぞれがどれほど交渉を合意させたいと考えているか。合意への思いが強い方が交渉力が弱く、思いが弱い方が交渉力が強い。
交渉が決裂すれば窮地に陥る場合、人は妥協してでも合意しようとする。逆に、交渉が決裂することに何の未練もなければ、強気で交渉できる。
②他の選択肢(結婚前は1人に絞るな)
目の前の交渉が決裂しても、他によい選択肢を持っていれば、非常に強力な交渉力を生む。
③時間(結婚を焦ってはダメ)
交渉において時間制限がある人、合意を焦っている人は交渉力が弱くなる。逆に、時間的に余裕を持って交渉できる人は交渉力が強くなる。