2012年2月号掲載
「売れない時代」の新・集客戦略 コスト削減に向けた顧客モチベーション・マーケティング
著者紹介
概要
サービス業における最大のコスト。それは顧客がおらず、施設・スタッフが遊んでいる状態だ。これを解消するには、需要の少ない時に利用してくれる、従来と違う顧客を集める必要がある。本書は、そのための手法「顧客モチベーション・マーケティング」―― 顧客を見極め、各々のモチベーションを軸に集客する方法を解説する。外食、旅館等、22社の実践例も収録。
要約
「売れない時代」の基本戦略
人口減少が本格化するこれからの世の中では、売上増によって利益を確保するのが難しい。今後は、コストを削減して利益を増やす経営戦略に転換することが重要になる。
サービス業では、コスト削減といえば、人員削減や施設の縮小など、サービスの提供作業の中のムダを取り除くと考える人が多い。
しかし、意外に意識していないところに大きなコストを支払っている。
それは「稼働率」の変動である。顧客が1人もいないにもかかわらず、施設やスタッフが待機しているという稼働率が低い状態が、サービス業にとって最大のコストである。
この稼働率を改善しようとすれば、需要が少ない時にサービスを利用してもらう必要があり、今までと異なる要望や嗜好、行動パターンを持つ顧客を集客しなければならない。
そのためには、なぜサービスを利用しているのかという「顧客のモチベーション」の理解が重要になる。この点に注目し、稼働率の平準化を目指す集客方法を、ここでは「顧客モチベーション・マーケティング」と呼ぶ。
顧客モチベーション・マーケティングでは、行動のモチベーションの違いから、顧客を次の4タイプに分類する。
・試用客
あるサービスを初めて試験的に利用する「お試し客」。
・手段客
あるサービスを何かのついでに利用する「ついで客」。その利用は本来の目的ではなく、別の目的を実現するための手段となっている。例えば、出張に使う鉄道やバス、航空機といった運輸サービスがその典型である。
・日常客
毎日の生活のために利用する「いつも客」。頻繁に利用する食品スーパーなどがその典型である。
・目的客
そのサービスの利用が目的となっている「こだわり客」である。従って目的客は、サービスの品質や内容に妥協することはない。