2012年5月号掲載
議論に絶対負けない法
Original Title :HOW TO ARGUE AND WIN EVERY TIME
著者紹介
概要
議論必勝法を紹介した書。著者は、議論の達人として名高い、米国の辣腕弁護士。40年以上にわたる弁護士活動を通じ、刑事裁判では無敗、民事裁判でも陪審員の圧倒的な支持を得てきた。そんな自身の経験をもとに、相手を攻撃するのではなく、信頼関係を築きつつ、自分の主張をうまく通す方法を説く。議論がヘタといわれる日本人にとり、示唆に富む1冊である。
要約
あなたも「必勝の議論」ができる!
議論とは、「口喧嘩」や「論争」ではない。自分の主張を持ち、それを相手にわかってもらうために、折り合いをつけるプロセスのことである。
議論は1つの技術である。それには一定のやり方、考え方があるが、どんな人でも自分の思うところを存分に相手に伝えることができるし、必勝の議論をすることができる ―― 。
信頼を集める人とは?
議論に勝つための第1の秘訣は、ごまかしをやめることだ。議論に勝つためには信頼されなければならない。信頼されるためには、自分について「ありのままの真実」を語らなければならない。
あなたが話をする時、相手は心の中の無数の触手を伸ばして、ごく小さな嘘でも感知する。その触手はインチキやごまかしを探り当てる。
例えば、悲しい話をしているのに、ニコニコしている人。口の筋肉をひきつらせた笑みを浮かべる人。こういう「ニセ物の笑顔」は信用されない。
ボディ・ランゲージのことはよくご存じだろう。体の動きや姿勢の取り方に、その人の本当の気持ちが現れる、というものだ。
普通の人でも、必ずと言っていいほど不正直な人を見分けられる。言葉とボディ・ランゲージとの間の微妙な違いを感じ取ることができる。
誰しも子供の頃から「本当のことを言いなさい」と諭される。だが、一生の間に「真実を語るスキル」はほとんど上達しない。本当のことを言うと、たいていは罰を受けるからだ。
愛を告白すると、時には拒絶される。怒りをあらわにすると、相手に反撃されたりする。だから、真実に近い作り話をでっちあげることを学習する。正直者はおめでたいマヌケだというわけだ。
しかし、それでも相手を説得して「心の服」を脱がせるためには、まず「自分が自分の服を脱ぐ」ことが必要だ。私たちは「裸でいるかのように話さなければならない」のだ。
私たちの社会は「本当の姿」ではなく、「うわべの姿」に価値を認める社会になってしまった。皆、自分の偽装と他人の偽装に混乱し、もう誰が誰だかわからなくなっている。