2012年9月号掲載
口紅は男に売り込め! 有名ブランド再生人の非常識な3原則
著者紹介
概要
高級化粧品メーカーのパルファム・ジバンシイをはじめ、数々の外資系ブランドの日本法人トップとして、業績をV字回復させてきた高倉豊氏が、自ら実践してきた起死回生の秘策を公開。「ライバルは見ない、現場は見ない、ロジカルに考えない」。この常識とは真逆の3つのやり方が、業績を立て直す上でいかに有効であるかを、様々な事例を挙げて説明する。
要約
ライバルは見ない
私は、ジバンシイの化粧品部門の日本法人、パルファム・ジバンシイをはじめ、イヴ・サンローラン・パルファン、シスレー、ウブロ等、いくつかの外資系ブランドの日本法人代表を務めてきた。
どこも就任当時は売上が頭打ちか、知名度がほとんどないか、もしくは日本から撤退目前という状態だったが、何とか再生することができた。
それを可能にしたのが、次の3つの思考法だ。
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- ①ライバルは見ない
- ②現場は見ない
- ③ロジカルに考えない
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常にゼロベースに立ち戻る
まず、「ライバルは見ない」ということについて述べると ――
独自のアイデアを生みたいと考えた時、まず競合ブランドの存在が気になる。だが、私はあえて「ライバルの動きは無視しなさい」と言いたい。
その動きを一度見てしまうと、常に動向が気になり、見続けずにはいられなくなる。そして、無意識のうちにライバルの成功談が脳裏に刻み込まれる。すると、思い切ったことをしようと考えても足かせとなり、思考に制限がかかってしまう。
余計な先入観を排除し、既成概念に囚われることなくゼロから考えることが重要である。
例えば、化粧品ブランドがキャンペーンでポーチをつくろうということになった場合。
「他のブランドを参考にして、よりいい物をつくろう」という改善策と、「うちのブランドなら、こういう色でこういう形がいいよね」とゼロから考える方法とでは、完成品があまり差のないデザインになったとしても、発するオーラは全然違う。
なぜなら、後者の方がより自社のブランドらしさという本質に迫るアプローチだから。改善策で出た案より、魅力があるのは当然なのだ。
このように、ゼロから始めることは、独自性を出すためには不可欠な道なのである。