2013年4月号掲載
機械との競争
Original Title :Race Against The Machine
- 著者
- 出版社
- 発行日2013年2月12日
- 定価1,760円
- ページ数175ページ
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著者紹介
概要
全く人の手を借りずに走行する「完全自動運転車」が登場するなど、今日のテクノロジーの進歩は凄まじい。このままいけば、これまで人間にしかできなかった仕事が機械でもできるようになる ―― すなわち、人間の仕事が機械に奪われかねない!? デジタル技術の急速な進歩が、どのような影響を雇用と経済に及ぼすのか、2人の研究者が見通す。
要約
テクノロジーが雇用と経済に与える影響
米国では、2009年6月に大不況の終結が公式に宣言されて以来、企業関連のデータはすみやかに回復している。
国内総生産(GDP)は、大不況終結から7・四半期の間に、年率換算で平均2.6%の成長率を記録した。企業収益も史上最高水準に達している。
だが、米国企業は大不況が終わっても雇用を拡大しなかった。新規雇用は手控えられたままだ。
雇用なき景気回復
失業という禍はなぜこうもしぶといのか。専門家はこの問いに対して3通りの説明をつけている。景気循環説、停滞説、「雇用の喪失」説である。
第1の景気循環説では、今回の大不況のように需要の落ち込みが激しい場合、回復までに長い時間がかかると説明する。
第2の停滞説では、現在の苦境は循環の一局面ではなく、停滞が原因だとする。この説でいう停滞とは、イノベーションを生み出す能力や生産性を高める能力の長期的な低迷を意味する。
停滞説の支持派は、イノベーションの出現率が上がってテクノロジーが進歩しない限り、経済は現在の不振から脱出できない、と主張する。
第3の「雇用の喪失」説は、停滞説の逆で、技術の進歩が速すぎるのだと主張する。
私たちはこの説を、ジェレミー・リフキンが1995年に発表した著書のタイトルに倣って「雇用の喪失」説と名付けた。
リフキンは同書で、次のように指摘している。
「私たちは世界の歴史における新しい時代に突入している。それは(中略)必要とされる労働者の数が、どんどん減っていく時代である」