2013年7月号掲載
伝説の外資トップが教える コミュニケーションの教科書
著者紹介
概要
ジョンソン・エンド・ジョンソンはじめ、外資系企業のトップを歴任した著者は、「ビジネスの失敗のうち80%以上は、コミュニケーションの不備に起因」するという。社内社外を問わず、あらゆる場面で欠かせないのがコミュニケーション力だ。本書では、自らの体験を基に、営業、人脈づくり、交渉等、様々な局面で役立つ「話し方」「聴き方」のノウハウを伝授する。
要約
優れたコミュニケーションとは
コミュニケーション力は、ビジネスパーソンにとって最も重要なスキルの1つである。
会議の場でも、社内の根回しでも、取引先との交渉でもコミュニケーション力がものをいう。
では、どうすれば、その質を上げられるのか。私自身の実体験を基に、アドバイスすると ――
やる気を増幅させる、挨拶に添える一言
私の日本コカ・コーラ時代、上司であるアメリカ人がとてもセンスのよい挨拶をする人だった。
「おはようミスターアタラシ、この前のレポートとてもよかったよ」と、相手に応じて、笑顔で何か一言を添える。
私も彼に倣い、挨拶に一言、ほめ言葉を添えるように努めた。とはいえ、一言ほめるとはいっても毎日のこと、それを見つけるだけでも一苦労だ。
相手の「ほめどころ」を見つけるには、常に相手に関心を持っていなければならない。そうして相手のいいところを見つけようと観察していると、今まで気づかなかった側面に気づくようになる。
そうすると、今まであまり相性のよくなかった人にも、好感を抱く点があることを発見する。それを挨拶の時の一言として添えるから、結果、相性の悪かった人との人間関係までよくなった。
挨拶に添える一言は、ほめ言葉だけに限らない。
京都にあるメーカーの工場長は、毎朝、工場の入り囗で出社する従業員を出迎え挨拶の声をかけていた。その時、顔色の悪い人などがいると、「○○くん、どこか身体の具合が悪いのか?」と呼び止め、その場で少し話す。その時の話は、後でラインの上長にも伝え、時には生産ラインの人員配置などについて指示することもあるそうだ。
この工場は同社の他の工場に比べ、圧倒的に不良率、事故率が少ないことで有名なのだが、その原点には工場長の朝の挨拶があったのだ。