2013年10月号掲載
会社の目的は利益じゃない 誰もやらない「いちばん大切なことを大切にする経営」とは
著者紹介
概要
売上を第一に考えない、飛び込み営業はしない、新卒の入社希望者と30時間面談する…。カーディーラー・ネッツトヨタ南国は、「常識外れ」ともいえる経営により、ずば抜けた業績を上げ続け、全国のトヨタ販売会社300社中、12年連続顧客満足度No.1に輝く。そんな同社の創業者が、何を、どのように考え、どのように大切にしてきたか、自らの経営哲学を綴る。
要約
質を追求する経営
戦後、日本は世界で一人勝ちの時期が長く続いた。この過程で日本の経営は、手っ取り早く量を求める手法が王道のようにみなされてきた。
質はどうでもいいから、とにかく量を求める。そんなやり方が、いつしか常識となってしまった。
しかし私は、「質のよい会社をつくって、その結果として量を増やしていく」ことが、本来の経営のあり方だと思う。それが、働く人にとって、お客様にとって、地域にとって最も幸せな形であり、永続をも可能にすると考えるからである。
ネッツトヨタ南国は、量を追求する考え方がピークを迎えるバブル景気の前、1980年に、トヨタ車の販売会社としてスタートした。以来、「量追求」の世の中に逆行して、20年、30年を見据えた「質追求」の道をこつこつと歩んできた。
「一番大切なこと」を大切にする
「あなたにとって一番大切なものは何ですか?」
そう尋ねられた時、どう答えるだろうか。
家族、健康、自分自身…。いろいろな答えがあるはずだ。しかし、続けてこう質問されたら…?
「自分の一番大切なものを、どのように大切にしていますか?」
おそらく、明快に答えられる人はほとんどいないのではないか。大切とは思いながら、具体的な行動は何も起こしていない、という人の方が多いのではないかと思う。つまり人はほとんどの場合、大切なことが何であるかはわかっていても、それを実際には大切にしていないのである。
一番大切なことは、最優先で行動すべきである。
「自分たちにとって何が一番大切なのか」を常に意識して行動しなければならない。