2013年12月号掲載
なぜ「あれ」は流行るのか? 強力に「伝染」するクチコミはこう作る!
Original Title :CONTAGIOUS
著者紹介
概要
米国の人気マーケティング学者が、なぜ特定の商品やアイデアが流行るのかを大解剖。「それを語るのがカッコイイ」「あるきっかけで思い出せる」「語りたくなるストーリーがある」など、分析から導き出した、強力に“伝染”するクチコミを生み出すための6原則を公開する。企業のマーケティング活動に役立つのはもちろん、心理学の読み物としても楽しめる。
要約
「クチコミ」を生む6つの原則
これまでに流行ったものは数多くある。経営手法のシックスシグマ、禁煙条例、低脂肪ダイエット、あるいは特定のジムに通うのが流行る、等々。
これらは「社会的伝染」といい、ある商品やアイデア、行動が人々の間に広まっていく現象の例だ。こうしたブームは、まず一部の個人や団体から始まり、人から人へウイルスのように伝染する。
では、なぜ一部の商品やアイデア、行動が勢いを得るのか? 数百に及ぶ伝染性のある商品やアイデアを分析した結果、多くに共通する「6つの原則」があることがわかった。
①ソーシャル・カレンシー(Social Currency)
ある商品やアイデアについて語っている時、その人はどんなふうに見えるだろうか?
ほとんどの人は、バカよりも利口、オタクっぽい変わり者よりも流行に敏感な人に見られたがる。
着ている服や乗っている車と同じく、取り上げる話題は、その人の印象を左右する。これを「ソーシャル・カレンシー」という。かっこいいものを知っている人は、情報通の切れ者に見える。
だから、話題に取り上げてもらうためには、話し手がこうした好ましい印象を聞き手に与えられるようなメッセージを打ち出さねばならない。
ニューヨーク市の、ビンテージ・ショップなどが並ぶ一角に、小さな飲食店がある。看板の代わりに、「イート・ミー」(私を食べて)と書かれた赤いソーセージの模型がぶら下がっている。
階段を下りると、昔ながらのホットドッグ・レストランがある。店の奥に目をやると、電話ボックスが設置されている。昔ながらの木製の扉を開けて中をのぞくと、古いダイヤル式の電話がある。面白半分でダイヤルを回すと、突然、扉の反対側の壁がサッと開く。隠し扉だったのだ!
そして、招き入れられた先は隠れ家バーだった。その名はなんと〈プリーズ・ドント・テル〉(誰にも教えないで)。
この店は一度も広告を出したことがない。それでも2007年の開業からずっと、ニューヨーク市内でも最も予約のとりにくい人気バーだ。