2014年3月号掲載
ビッグの終焉 ラディカル・コネクティビティがもたらす社会の未来
Original Title :THE END OF BIG:How the Internet Makes David the New Goliath
著者紹介
概要
インターネットや携帯端末などがもたらした「ラディカル・コネクティビティ」(革命的なつながりやすさ)が今、政治、ビジネス、文化を一変させている。例えば、ブロガーが大手既成メディアを窮地に追い込んだり、ウェブを使った個人ビジネスが大企業を脅かしたり…。この新しい力が持つ豊かな可能性、そして迫り来る大組織の崩壊という未来社会を描く。
要約
「大きなもの」の時代の終焉
周りを見てほしい。既成のメディアではなく、ブロガーたちがニュースを発信している。突然現れた候補者が、大物政治家を倒している。市民がフェイスブックで呼びかけてデモを組織し、政府軍に闘いを挑んでいる…。
私たちは「ラディカル・コネクティビティ」を手に入れている。
それは、膨大なデータを瞬時に、いつでも、地球上のどこにでも送ることができる、とてつもない能力であり、パソコン、インターネット、携帯電話によって手に入れることができる。
革命的な接続性を生み出すラディカル・コネクティビティは、政治、ビジネス、文化を一変させている。伝統的な「大きな」機関の根幹が揺るぎ、成り上がり者や反逆者が力をつけているのだ。
例えば、たった1人のサイバー活動家が、何十万点もの政府の秘密文書を世界に暴露して、中東の革命に火をつける。それを目の当たりにして、何か変化が起きていることに私たちは気づく。
確かなことが1つある。ラディカル・コネクティビティは、既存の権力構造には有毒だということだ。
今、私たちの目の前で、トップダウン型の国民国家モデルが崩れつつある。「大きなもの」の時代の終焉が、すぐそこに迫っている ―― 。
ビッグ・ニュース
2011年5月。ある日曜日の夜、ドナルド・ラムズフェルド元国防長官の首席補佐官だったキース・アーバンがツイッターでつぶやいた。「信頼できる人物から聞いたところによると、彼らがウサマ・ビン・ラディンを殺害したようだ」。
主流メディアが報じる前に、このつぶやきは、すでに野火のように広まっていた。
世界中の多くの人が、ビン・ラディン殺害を最初に知り、その後の情報を求めたのは、テレビでも新聞でもない。フェイスブックやツイッターなどへの投稿だった。
ニュースの世界ほど、既存の大きな機関が根幹から揺さぶられているように見えるところはない。