2014年4月号掲載

世界を動かす消費者たち 新たな経済大国・中国とインドの消費マインド

Original Title :THE $10 TRILLION PRIZE

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著者紹介

概要

予測によれば、経済成長を続ける中国・インドの消費者市場は、2020年までに合計10兆ドル、日本の3倍に達する。この巨大市場でビジネスに成功するには、新たに出現する消費者層の理解が欠かせない。彼らはどんな価値観を持ち、消費行動をとるのか。それらを長年にわたる両国での調査研究、コンサルティングを基に描く。現地に適応した戦略、企業事例も紹介。

要約

黄金時代の幕開け

 経済成長を続ける中国とインド。その勢いは、今後さらに加速するだろう。

 遅くとも2029年には、中国は世界最大の経済大国として米国を追い抜く見込みだ。インドは、28年にはドイツと日本を追い越し、世界第3の経済大国となる可能性が高い。

急拡大する消費

 経済成長の結果もたらされる消費の拡大は目覚ましく、推計では、両国の消費者は2020年には年間約10兆ドルを消費することになる。これは現在の3倍だ。世界市場におけるシェアは、合わせて8.2%から15.7%に伸びるだろう。

 中国とインドで生活水準がこのように向上する理由の第一は、所得の増加だ。

 2010年から20年にかけて、1人当たりの平均年間所得は、中国では約4400ドルから1万2300ドルに、インドでは1500ドルから4400ドルに増加するだろう。

 その結果、中国の上位層は2400万世帯から9100万世帯に、中位層は1億900万世帯から2億200万世帯に増加する。インドの上位層は900万世帯から3200万世帯に増加し、中位層は6300万世帯から1億1700万世帯へと急増する。

 中国とインドでの生活水準の上昇には、他にも理由がある。新たな中間層の消費者は、やがて多額の貯蓄に手をつけ、クレジットカードや消費者ローンを活用するようになるだろう。

 驚くことに、中国では消費者、企業、政府部門合わせて国内総生産(GDP)の53.6%を貯蓄している。インドでは33.6%。これらの一部でも消費に向けられれば、それは莫大な金額になる。

楽観的な消費者が夢を追う

 どちらの国でも消費者は向上心が強く、自分たちの未来に楽観的で、豊かさという初めての経験を積極的に享受しようとしている。その姿勢は、不況におののく欧米の消費者とは全く対照的だ。

 中国とインドでは、経済成長による所得の増加に加え、新たな中間層は小規模な家族形態を選ぶ傾向にある。