2014年4月号掲載
私の財産告白〈新装版〉
著者紹介
概要
著者・本多静六(1866-1952)は、苦学の末に東大教授となり、研究生活のかたわら「月給4分の1天引き貯金」など、独自の蓄財投資法と生活哲学により莫大な財産を築いた。退官後は全財産を寄付し、「人生即努力、努力即幸福」をモットーに簡素生活を実践。この伝説の億万長者が、お金と人生の真実を語る。自らの実践に基づく名言の数々は、今なお新鮮で心に響く。
要約
金の貯め方・殖やし方
私は少年時代から学生時代にかけて、ひどい貧乏生活を続けてきた。
何としてもこの貧乏生活から脱却しなければ、精神の独立も生活の独立もおぼつかないと考えた。
貧乏を征服するには、貧乏に強いられてやむを得ず生活をつめるのではなく、貧乏をこちらから進んでやっつけなければならぬと考えた。
本多式「4分の1」貯金
そこで、断然決意して実行に移したのが、本多式「4分の1天引き貯金法」である。これは、「あらゆる通常収入は、それが入った時、天引き4分の1を貯金してしまう。さらに臨時収入は全部貯金して、通常収入増加の基に繰り込む」法だ。
つまり、月給その他月々決まった収入は4分の1を、著作収入、賞与などの臨時分は全部を貯金する。次年度に入ってくる貯金利子は通常収入とみなし、さらにその4分の1を残しておく。
これが、私の25歳の時から始めた貯金法だ。苦しい上にもさらに苦しさを求めたのだから、初めの生活は全くお話にならぬ苦しさであった。
月末になると現金がなくなってくるので、毎日胡麻塩ばかりで済ませたことさえある。子供たちは「お母さん、今夜も胡麻塩?」と泣き顔をした。
さすがにこれには断腸の思いをした。しかし、私のこの計画は、あくまでもしっかりした理性の上からきている。かわいそうだなどということは一時的のことで、しかもツマラヌ感情の問題だ。この情に負けてはならぬと歯を食いしばった。
そうして、4分の1貯金を続けていけば、3年目にはこれこれ、5年目にはこれこれになる。今の苦しさは、苦しいのを逃れるための苦しさだから、しばらく我慢してくれと家内の者を説いた。
この考え方は、現在でも応用できると確信する。最初の出発点で、まず4分の1の生活切り下げを断行してください。ただそれだけで済む。最初から決めてかかるのが一番楽で、一番効果的である。
一番のさわりは虚栄心
貯金生活を続けていく上に、一番のさわりになるものは虚栄心だ。一切の見栄をさえなくすれば、4分の1天引き生活くらいは誰にでもできる。