2014年7月号掲載

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

Original Title :A Whole New Mind

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著者紹介

概要

「情報化の時代」から「ハイ・コンセプト(新しいことを考え出す人)の時代」へ ―― 。これからの社会や経済を築くのは、情報化の時代のロジカルで直線的な能力ではない。今後、重要なのは、感性の領域に属する資質だと著者は指摘。デザイン、物語、調和、共感、遊び、生きがい。新しい世界で成功する上でカギとなる、これら「6つの感性」について詳述する。

要約

「ハイ・コンセプト」の時代

 ほぼ1世紀もの間、西洋社会では、分析的に社会を捉える思考やアプローチが大勢を占めていた。

 だが、私たちは今、新たな時代を迎えつつある。その新しい時代を動かす力は、これまでとは違う新しい思考やアプローチであり、そこで重要になるのが「ハイ・コンセプト」「ハイ・タッチ」だ。

 ハイ・コンセプトとは、チャンスを見いだす能力、芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話のできる能力、バラバラな概念を組み合わせて新しい概念を生み出す能力などだ。

 ハイ・タッチとは、他人と共感する能力、人間関係の機微を感じ取る能力、自らに喜びを見いだし、また、他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、そして、ごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力などである。

 人間の脳は左右に分かれていて、左脳は論理的、分析的に情報を処理するが、右脳は直観的、本能的、そして包括的、全体的に機能する。

 これまでの時代を象徴する能力、すなわち「情報の時代」を引っ張ってきた「左脳的」能力は今日でも必要だが、もはやそれだけでは足りない。

 創作力や共感、喜び、意義など「右脳的」な特質が、これからの世の中で重要な要素になる。

 その原因として、3つの要因がある。

  • ①豊かさのおかげで、多くの人の物質的ニーズは過剰なまでに満たされた。それによって美しさや感情面を重視する傾向が強まり、物事の意味への追求に拍車がかかった。
  • ②ホワイトカラーが従事するルーチン・ワークの大半が、今ではアジア諸国で安いコストで行われている。そのため、先進国のナレッジ・ワーカーは、海外に委託できないような新たな能力を身につける必要に迫られている。
  • ③ひと昔前のブルーカラー労働者がロボットに職を奪われたのと同じ影響を、今のホワイトカラー労働者も受け始めた。すなわち、コンピュータが安く、迅速に、上手にこなせないような能力を身につけないと淘汰されるのだ。

「6つの感性」が道をひらく

 これから訪れる新しい世界をうまく生きていく。そのためには、次に示す、右脳主導の「6つの感性(センス)」を身につける必要がある。

①「機能」だけでなく「デザイン」

 現代社会においては、職種を問わず、誰もが芸術的感覚を養う必要がある。私たちは皆、デザイナーにならなければならないのだ。