2014年10月号掲載
シリコンバレー 最強の仕組み 人も企業も、なぜありえないスピードで成長するのか?
Original Title :SECRETS OF SILICON VALLEY:What Everyone Else Can Learn from the Innovation Capital of the World
- 著者
- 出版社
- 発行日2014年7月7日
- 定価1,980円
- ページ数387ページ
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著者紹介
概要
シリコンバレーでは、これまでアップル、フェイスブックなど、ITを武器に世の中の仕組みを変えるような企業が次々に生み出されてきた。当地が、才能あふれる起業家や投資家を惹きつけてやまないのはなぜか? 自身もこの地で3つの企業を創設した著者が、前進を続ける“イノベーションの聖地”の独特の仕組みについて、歴史的・文化的な側面から解き明かす。
要約
シリコンバレーが生まれた理由
シリコンバレーでは、これまでIT(情報技術)を武器に、アップルなど世の中の仕組みそのものを変えるような企業が次々と生まれてきた。
では、この“イノベーションの聖地”はいかにして誕生したのか。今日シリコンバレーが存在する理由として、次のようなものが挙げられる。
スタンフォード大学
リーランド・スタンフォード・ジュニア大学、通称スタンフォード大学は、1885年、鉄道王にして州知事のリーランド・スタンフォードとジェーン・スタンフォード夫妻が、前年に亡くした一人息子の名をとどめるために出資して創設された。
欧州へ家族旅行に出かけた折、リーランド・ジュニアは腸チフスにかかり、16歳の誕生日を迎える前に息を引き取った。心に大きな痛手を受けた夫妻は、息子を偲ぶにはどのようにするのがよいかと考えた末、「カリフォルニアの子供たちをわが子に」しようと決めた。
世界トップクラスの大学を構想したリーランドは、以前に会った、実社会で働くにはまだ教育が十分ではない学生のことを思い出した。そこで、学生の1人1人に「立身と実学」を教えることを、大学教育の目指すものの1つとした。
フィールドワーク、教室での講義、研究室での実験などの教育を、地域の産業と一体化させる。それによって学生は、身につけたことが実社会でどのように生かせるかを経験者から直に学べる。
そして、今やスタンフォード大学はイノベーションの拠点として、革新的な企業を6000社近く誕生させている。創業者がスタンフォードで技術やビジネスプランを開発した企業には、例えば、チャールズ・シュワブ、シスコシステムズ、イーベイ、グーグル、ヒューレット・パッカード、IDEO、インテュイット、サン・マイクロシステムズ、テスラモーターズ、ヤフーなどがある。
真空管
20世紀の重要な発明の1つに真空管がある。ラジオ放送、テレビ、音声の録音と再生と増幅、後には電話網、アナログおよびデジタルコンピュータが実現したのは真空管のおかげだ。
1910年にベイエリアに移り住んだリー・ド・フォレストは、無線用三極真空管を発明した。これが20世紀のエレクトロニクス革命の端緒を開き、エレクトロニクスイノベーションの地としてのシリコンバレーの名声を固めた。
フレデリック・ターマン
「シリコンバレーの父」といわれるのが、フレデリック・ターマンである。スタンフォード大学で化学の学士号と電気工学の修士号を、その後マサチューセッツ工科大学で博士号を取得した。
スタンフォード大学の工学部教授になったターマンは、優秀な人材を迎え、CIAとNSA(国家安全保障局)のために最高水準の研究開発を進めた。