2015年3月号掲載

2040年の新世界 3Dプリンタの衝撃

Original Title :Fabricated:The New World of 3D Printing

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著者紹介

概要

コンピュータの指示に従い、素材を何層も積み重ねて物を作る「3Dプリンタ」。これは将来、飛躍的に進歩し、ロボット、薬、食べ物、さらには人の臓器までも作れるようになるという。蒸気機関や電信の発明に匹敵する、この革新的テクノロジーが持つ能力とは? 社会、経済にどんな変化をもたらすのか? まるでSFの世界のように、限界を超えて広がる可能性を描く。

要約

ほとんど何でも作れるマシン

 何でも作れるマシンがあったら、あなたは何を作るだろう?

 イギリスのある技術者は、短距離走の五輪選手のつま先からくるぶしにかけてスキャンし、そのデータを基に、それぞれの選手に固有の体形や体重、走り方、好みに応じてカスタマイズされたスパイクシューズを「3Dプリント」している。

 米国では、NASAが新型のマーズ・ローバー(火星探査車)を開発した。これには、3Dプリントされた特注の金属部品が使われている。そうした部品の多くは、曲線や中空部分を持つ複雑な形状なので、3Dプリンタ以外では作れなかった。

 日本では、超音波画像の究極の記念物を作りたがる妊婦がいる。担当医が女性の子宮内の超音波画像を編集し、胎児の精密なレプリカを3Dプリントすると、樹脂で3Dプリントされた、小さな胎児への前衛的な贈り物ができる ―― 。

 こうした製造業のささやかな奇跡はすでに起きている。そう遠くない未来、人々は生体組織や栄養を調整した食品を3Dプリントしているだろう。

 3Dプリンタは、コンピュータの指示に従い、素材を何層も積み重ねることで、物を作る。

 まず3Dプリンタが、デザインファイルの指示に従って粉末や溶融物や液体の素材を噴射したり固めたりし、特定の平らなパターンを形成する。

 こうしてできた最初の層が固まると、「プリントヘッド」が戻って最初の層の上にまた薄い層を形成する。この2番目の層が固まると、その上にまた薄い層を載せる。そうして薄い層が重なっていき、ついには3次元の物体が形成される。

 3Dプリンティングが広まる未来の世界では、人々は欲しいものを、欲しい時に、欲しい場所で作る。一般の人々が、この生産の強力なツールを利用できるようになれば、従来の製造やビジネスは崩壊してしまうだろう。

 

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