2015年6月号掲載
人は、誰もが「多重人格」 誰も語らなかった「才能開花の技法」
- 著者
- 出版社
- 発行日2015年5月20日
- 定価836円
- ページ数246ページ
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著者紹介
概要
「多重人格」と聞くと、小説『24人のビリー・ミリガン』の主人公など、「精神の病」を連想しがち。しかし著者によれば、誰もが自分の中に複数の人格を持つ。そして、様々な人格を状況に応じて切り替えることで、才能、さらには豊かな人間性が開花するという。この多重人格のマネジメントの仕方を、心理学の知見をベースにしつつ、わかりやすく紹介する。
要約
多重人格のマネジメント
分野を問わず、一流のプロフェッショナルは「多重人格」であり、「様々な人格」を切り替えながら仕事をしている。
例えば、経営者は、社員の前で会社の将来ビジョンを語る時、「ロマンと情熱」を持った人格が前面に出ないと、社員の心に火をつけることはできない。一方、経営会議で経営陣に収益計画の話をする時は「数字の鬼」とでもいえるような厳しい人格が前に出ないと、企業の存続を危うくする。
それゆえ、一流の経営者は、誰もが「複数の人格」を見事に使い分けている。
誰もが持っている「複数の人格」
このような「多重人格のマネジメント」は少し修業をすれば、誰でもできるようになる。
なぜなら、誰もが、自分の中に「複数の人格」を持っているからだ。例えば、会社では辣腕の課長、家に帰れば子煩悩な父親、実家に戻れば母親に甘える三男坊、といった人は珍しくない。
ただ問題は、それを自覚しているか、自覚していないかである。自分の中にある複数の人格を自覚し、置かれた状況や立場によって「異なった人格で対処する」ということを意識的に行うならば、自然に「様々な才能」が開花していく。
「才能」の本質は「人格」
順を追って話をしていこう。まず理解してほしいのは、「才能」の本質は「人格」であることだ。
よく「あの人は、何々の才能がある」といった表現をするが、この「何々の才能」とは、大半が、その人物の「人格」や「性格」と呼ばれるものだ。だから、ある人が、ある仕事に向いていない時、「彼は、性格的に、この仕事に向いていない」といった表現をするのである。
例えば、数学者の「数学的思考」の奥には、緻密で論理的な思考を好む人格がある。時計職人の「手先の器用さ」の奥には、微細で正確な作業を楽しむ人格がある。
このように、通常の才能と呼ばれるものの大半は、人格が占めているのである。
誰もが被っている「複数の仮面」
人は誰もが、心の中に「様々な人格」を持っているが、立場や状況にふさわしい「表の人格」を、意識的・無意識的に選んで生きている。その選んだ表の人格を、「ペルソナ」と呼ぶ。