2015年9月号掲載
自分を見失わず、本当の望みをかなえる ハーバード流 最後までブレない交渉術
Original Title :GETTING TO YES WITH YOURSELF
- 著者
- 出版社
- 発行日2015年6月24日
- 定価1,760円
- ページ数217ページ
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著者紹介
概要
世界1300万部のベストセラー『ハーバード流交渉術』の著者、ウィリアム・ユーリー氏の最新作。氏は言う。交渉で最も大事なのは「自分自身との交渉」である、自分にイエスと言えれば相手にイエスと言わせられる、と。本書では、そのためのノウハウを紹介。「自分という最強の敵を理解する」「世界は自分の味方だと信じる」等、6ステップから成る方法を解説する。
要約
イエスを引き出す「6つのステップ」
35年ほど前、私は故ロジャー・フィッシャーと『ハーバード流交渉術』を共同執筆した。
その後、難しい相手や、困難な状況での交渉術について研究するうちに、私はまだ何かが足りないと思うようになった。そしてそれは、最初に行う交渉であり、最も重要な交渉 ―― すなわち、「自分自身との交渉」だと気づいた。
難しい状況であればあるほど、自分にイエスと言えなければ、相手にイエスと言わせることなどできない。相手よりもまず自分自身に影響を与える方法が身につけば、自分の願いをかなえ、相手の要望にも応えられるはずだ。
そのための方法が、次に紹介する「自分にイエスと言うための6つのステップ」だ。
①自分という「最強の敵」を理解する
交渉役として最も大切なスキルを1つだけ挙げろと言われたら、私は「相手の身になって」考える能力と答える。相手の考えを変える第一歩は、何を考えているかを知ることだ。
しかし、紛争や交渉の場では、相手の身になって考えるのは非常に難しい。自分の問題や自分の願望ばかりに目がいき、相手の抱えている問題や要望を考える余裕はほとんどないからだ。
例えば、上司に昇進をもちかける時、昇進を望むあまり、上司の立場、つまり予算が厳しく昇進させるのは難しいという事情には思い至らない。
こんな時、まずしなければならないのは、自分の願望と相手の願望を明確にすることだ。
そのためには、「自分の身になって」考える。自分の心の声に耳を傾け、自分が心から望むものは何かを突きとめる。すると、心も頭もクリアになり、相手の状況を理解する余裕が生まれ、相手が心から望むものが見えてくる。
スマトラのジャングルで、アチェ州の分離独立を巡り25年も続いていた内戦に、第三者として介入した時のこと。
会議の席で私は、反政府運動のリーダーたちに、心から望むものは何かと訊ねた。「あなたがたが求めているのは分離独立ですね」。この点をはっきりさせた上で、こう切り出した。「なぜ独立を求めるんですか?」。