2015年12月号掲載

脱東京 仕事と遊びの垣根をなくす、あたらしい移住

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著者紹介

概要

近年、東京から他の地域へ移住する人が増えている。著者はこの動きを「あたらしい移住」と呼び、従来のUターンなどによる移住と区別する。都会生活に疲れたからでも、田舎暮らしを楽しむためでもなく、自分のライフスタイルの実現のために移住する ―― 。今、日本で起こりつつある新たな地域移住の背景、流れ、メリットなどを、豊富な取材をもとに述べる。

要約

なぜ今、地域移住がトレンドなのか

 近年、東京から他の地域に移住する人が増えてきたように実感する。ただ、移住のスタイルが昔とはまったく異なる。

 昔でいうところのUターンやIターンなどによる移住、もしくはリタイアした人に多い「田舎暮らし」は、どちらかといえば、都会での生活に疲れてしまったという後ろ向きなイメージがあった。

 だが最近は、もっと前向きなものだ。ビジネスの第一線で活躍していた人たちが、自分のライフスタイルを実現するために移住し始めている。

テクノロジーの進化がライフスタイルを変える

 その大きな理由として、インターネット、スマートフォン、スカイプなどのコミュニケーションツールの劇的な進化が挙げられる。

 インターネットのお陰で、距離を気にせず、それほどコストをかけずにビジネスができる時代になった。SNSなどのソーシャルメディアを利用すれば、個人で情報を発信できる。さらに、LCCの台頭による移動コストの減少もあり、どこにいても仕事ができる環境が整ってきた。

 つまり、テクノロジーの進化は、生活スタイルにも大きな影響を与え、「あたらしい移住」という動きが出てきたのだ。

価値観のコペルニクス的転回

 2008年9月、米投資銀行のリーマン・ブラザーズが破綻した。いわゆるリーマンショックである。そして、2011年3月11日には、東日本大震災が起こった。

 この2つの大事件をきっかけに、多くの人が「自分の生き方・働き方」に疑問を持つようになったのではないだろうか。

 だが、2つの大きな出来事があったことで、もっと精神的な豊かさを求める時代になってきたといえるだろう。「本当の幸せって何だろう?」と、自分の人生を見直す人が増えてきたのだ。

あたらしい移住の環境が整った

 行政も、他の地域への移住を後押ししている。

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