2016年8月号掲載

一流は知っている! ネガティブ思考力

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著者紹介

概要

「ポジティブシンキングが成功を導く」。こう信じる人は多い。しかし、著者によれば、成功するには“ネガティブ思考”もまた大切。不安な気持ちが、「記憶力を良くする」「説得力を高める」等々のメリットをもたらすという。本書では、心理学の視点から、ネガティブ思考の有用性、ポジティブ思考の落とし穴などについて説く。

要約

ポジティブの罠

 「ポジティブ思考を身につければ、全てがうまくいく」「ポジティブシンキングが成功を導く」。

 こうしたポジティブ思考を万能視するようなメッセージが、世の中に溢れている。

 だが、そんなポジティブ信仰にはまって無理やりポジティブな心理状態にさせたりすると、かえって仕事ができなくなってしまう。

 「そんなバカな」と疑問に思う人もいるだろうが、それは科学的に実証されたことなのである。

ポジティブ・イリュージョンの落とし穴

 人は誰でも自分を過大評価する傾向がある。これを「ポジティブ・イリュージョン」という。

 心理学者ダニングたちは、調査によりポジティブ・イリュージョンの存在を証明している。

 例えば、管理職の90%が自分の能力は他の管理職より優れているとみなしていた。また、大学教授の94%が自分は平均より優れた業績をあげているとみなしていることもわかっている。私たちは、自分に都合よく現実を歪めて認知しているのである。

 欧米の心理学者たちの研究では、ポジティブ・イリュージョンのメリットが盛んに指摘されている。もちろん、ポジティブ・イリュージョンのおかげで自信をもって前向きにやっていける面があるのは確かだが、そのイリュージョンのせいで現実を直視できないという問題が出てくる。

 人からは思いやりに欠ける人物とみなされているにもかかわらず、ポジティブ・イリュージョンのせいで自分は普通より思いやりがある方だと思い込んでいる場合、性格を改善しようということにならないため、人間関係がなかなかうまくいかないということになりやすい。

 従って、ポジティブ・イリュージョンによって自信をもてるというメリットはあるものの、根拠のない自信による弊害もあるので、正確な自己認知ができるようにする必要がある。

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