2017年1月号掲載
世界経済 危険な明日
Original Title : THE ONLY GAME IN TOWN
- 著者
- 出版社
- 発行日2016年10月25日
- 定価2,750円
- ページ数411ページ
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著者紹介
概要
成長か、崩壊か ―― 。世界で最も影響力のあるエコノミストの1人、モハメド・エラリアン氏が、世界経済が直面している危機の実相を描き出す。新たな成長と金融の安定への道と、景気後退と市場混乱への道。この“T字路”に私たちはまもなくぶつかるとし、それに備えよ、と説く。ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー!
要約
金融危機がもたらした影響
世界のほぼすべての国家や政府、一般家庭を、2008~2009年の金融危機は揺るがした。
それに続き、低成長、格差の拡大、政治の機能不全、社会的緊張の発生といった「ニュー・ノーマル(新たな常態)」が形成された。中央銀行による大規模な政策介入や、世の中を一変させるような技術革新があったにもかかわらず、である。
今やこのニュー・ノーマルは、疲弊の度合いを強めている。もはや世界経済のたどる道は遠からず、しかも突然に終結すると考えられる ―― 。
*
世界的な金融危機からほぼ8年が経過した今、先進諸国は大きな課題を負い、その結果生じた害悪は、多方面に影響を及ぼしている。その課題のいくつかを見ていこう。
【問題】
不充分でアンバランスな経済拡大が繰り返されている。これは、多くの先進諸国がいまだに適切な成長モデルを確立していないためである。
先進諸国は、金融危機以降、経済を成長させるのに大変苦労している。欧州や日本の国内総生産(GDP)は、2008年の危機より前の水準を回復するのに苦戦している。英国と米国は比較的力強く成長してきたが、望ましい水準には遠く及ばない。
先進諸国で力強い経済回復が実現していないため、新興諸国の経済成長率の低下もすぐに改善されるとは考えられない。
こうした状況によって世界経済の活力は低下し、世界経済は政治の失敗や市場のアクシデントの影響をはるかに受けやすくなる。
【問題】