2017年6月号掲載
最高の結果を出すためのたった一つのルール 最強のシンプル思考
Original Title :Think Simple:How Smart Leaders Defeat Complexity
著者紹介
概要
「シンプル」は、最強の武器になる! それは、組織の風通しを良くし、社員のモチベーションを高め、競合を引き離す。では、具体的にどうすれば、シンプルになれるのか? 倒産の危機にあったアップルの復活を支えた人物が、スティーブ・ジョブズと働いた経験や、成功企業のリーダーへの取材を基に、シンプルへの道を示す。
要約
「シンプル」を追求する
「シンプル」 ―― 。それは、ビジネスにとって最強の武器になる。顧客を惹きつけ、従業員のモチベーションを上げ、競合他社を引き離し、効率的な仕組みを生み出す。
しかし、シンプルにするのは大変な仕事だ。会社が成長するほど、内部組織は複雑になる。製品ラインは多様化する。プロセスは煩雑になる。
どうすれば、企業はシンプルになれるのか?
私は、アップルのスティーブ・ジョブズと12年間仕事をした。かたくなにシンプルなあり方を追求するスティーブの姿勢は、製品や組織の構成から顧客サービスに至るまで、アップルのすべてに反映されている。シンプルを追求する姿勢こそ、スティーブの最大の武器だった。
だが、シンプルの力を活用しているのはアップルだけではない。
シンプルな組織は、シンプルなミッションから
企業の根底にあるのは、「ミッション」だ。世界で成功している企業の多くは、とてもシンプルなミッションから発展した。
アマゾンは良い例だ。ジェフ・ベゾスは会社の軸をたった3つの単語で表した。「ワンクリック・アウェー(たった1回のクリックで)」だ。
このフレーズは、同社が提供する価値を端的に表している。すなわち、たった1回のクリックで、世界中のあらゆる製品が購入できる、ということだ。ベゾスはことあるごとに、すべての仕事はこの最終目標を達成するためにある、と社員に伝えている。
ミッションは、会社の存在意義である。ミッションという共通の目的があることで社員の団結力が高まり、製品、サービス、コミュニケーション、マーケティングをはじめ、会社が下さなければならない、あらゆる決断の道標となる。
シンプルは組織に浸透する
ミッションが会社の探究すべき目標であるとするなら、ミッションを成し遂げるために人々を導き、会社が正しい方向に進むための決断や行動を後押しするのは、「企業文化」である。
例えば、米国のスーパーマーケット、ホールフーズ・マーケットは「健康的な生活を促進する」という企業文化の上に事業を構築している。その強い企業文化は、意思決定において判断をシンプルにする役割がある。そして、同社の理念に共感する社員が集まり、職場は一致団結している。