2017年12月号掲載
ギグ・エコノミー 人生100年時代を幸せに暮らす最強の働き方
Original Title :THE GIG ECONOMY:THE COMPLETE GUIDE TO GETTING BETTER WORK, TAKING MORE TIME OFF, AND FINANCING THE LIFE YOU WANT!
著者紹介
概要
「ギグ・エコノミー」とは、“ギグ(単発の仕事)”を基盤とした新しい労働・経済形態のこと。近年、米国ではフルタイムの仕事が減り、フリーランスや副業などでギグを行う人が増えているという。本書では、ギグ・エコノミーが拡大している背景や、この新たな働き方で成功を収め、充実した人生を送るための法則を解説する。
要約
ギグ・エコノミーの時代
「ギグ・エコノミー」 ―― 。
これは、終身雇用ではなく“ギグ(単発の仕事)”を基盤とした新たな労働・経済形態のことである。コンサルティングや業務請負、アルバイト、派遣労働、フリーランス、自営業、副業の他、オンラインプラットフォームを介したオンデマンド労働などが当てはまる。
5年前に私は、講師を務める大学にギグ・エコノミーの講座を創設した。たちまち人気を得て、今やギグ・エコノミーは、米大統領選挙でも議論が交わされたほど大きなトピックになっている。
働き方の変化
ギグ・エコノミーはまだ発展の初期段階だが、すでに人々の働き方を大きく変えようとしている。
1つ前の世代までは、正社員としてフルタイムの職に就き、定年まで同じ会社に勤めるか、転職してもせいぜい1回というのが当たり前だった。安定した昇給、手厚い福利厚生、退職金。これらを期待して人生の見通しを立てることができた。
だが、私の教え子が足を踏み入れる仕事の世界は、まったく様子が異なる。彼らは、3~5年で転職を繰り返すプランを描いている。
収入が安定して増えることは想定していない。独立すれば高収入が狙える一方、逆に収入が減ることもあり得るからだ。今日の労働者は柔軟性や自主性、働く目的や意義との一貫性などを重視し、これらの要素がそろった仕事なら、収入がいくらか減ってもかまわないと考える傾向が強い。
現在の労働者は「1人の従業員に1つの職務」という伝統的な就業モデルに不満を抱いている。
ギャラップ社が2014年に米国の従業員を対象に実施した調査によれば、自分の仕事にやりがいや愛着を感じると答えた割合は3分の1未満。一方、組織に雇われていない独立した就業者は、仕事に満足してやりがいも感じている場合が多いということが複数の調査で明らかになっている。
なぜギグ・エコノミーは拡大しているのか?
ギグ・エコノミーが拡大している背景には、近年の2つのトレンドがある。1つはフルタイムの仕事が減っていること、もう1つは多くの企業でフルタイム従業員を敬遠するようになったことだ。
米国の民間部門における雇用の増加率はかつて2~3%だったが、2008年には1%を割り込み、2015年まで歴史的な低水準が続いている。