2018年3月号掲載

新・日本の階級社会

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著者紹介

概要

かつて日本の社会は格差が小さく、「一億総中流」といわれた。だが今日、非正規労働者が増えるなど、格差の拡大が甚だしい。現代日本は、もはや「格差社会」という生ぬるい言葉で形容すべきものではない。収入や生活様式などの違いにより分け隔てられた「階級社会」だとし、その実態を詳述、格差縮小のための方法を示す。

要約

「格差社会」から「新しい階級社会」へ

 「格差社会」は、平成日本で最大の流行語の1つだ。1988年11月19日の『朝日新聞』社説で最初に使われ、2004年刊の社会学者・山田昌弘の著書『希望格差社会』で、この言葉は広まった。

格差の推移

 では、日本の格差はどう推移してきたのか。

 戦後の復興は大企業と都市部から始まり、中小企業と地方は取り残されたため、格差が拡大した。

 だが高度成長が始まると、経済成長の成果が中小企業や地方にも波及し、格差は縮小に転じる。高度成長が終わっても、格差の縮小は続き、1975~1980年頃、底に達する。国民のほとんどが豊かな暮らしを送る格差の小さい社会だとして、「一億総中流」がいわれた時代である。

 この時代にももちろん格差はあり、貧困に苦しむ人々もいたが、今日に比べ格差は小さかった。

分断され、日本型「階級社会」が出現

 しかしその後、格差拡大が続くことによって、日本の社会は大きく変質する。

 貧困率が上昇し、膨大な貧困層が形成された。1985年に12.0%だった貧困率は、2012年には16.1%に。人口に貧困率をかけた貧困層の数は、1400万人から2050万人にまで増えたことになる。

 今日、拡大した格差は日本の社会に深く根を下ろしてしまったといっていい。人々は、豊かさの程度によって明らかに分断されている。こうした意味で現代の日本社会は、もはや「格差社会」などという生ぬるい言葉で形容すべきものではない。それは明らかに「階級社会」である。

 今日の日本社会は、明らかに階級社会としての性格を強めている。しかもその構造は、従来の理論や学説が想定してきたものとは異なっている。その意味では「新しい階級社会」である。

 

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