2018年10月号掲載
御社の「売り」を見つけなさい!
著者紹介
概要
これまでに支援した中小企業は約6000社、手がけた新規ビジネスの立ち上げは1400件超。「どんな会社にも光る部分は必ずある」という信念で相談者と日々向き合う著者が、自社の「強み」の見つけ方や、業績向上のポイントなどを、過去の実績を踏まえて伝授する。売上低迷に悩む企業に、多くのヒントを与えてくれる1冊だ。
要約
御社にも「オンリーワン」が必ずある
静岡県富士市にある、富士市産業支援センター(通称f-Biz/エフビズ)は、無料で企業の経営相談に応じる公的機関である。
2008年にセンター長に就任した私は、これまでに約6000社の中小企業支援に携わり、1400件以上の新規ビジネスの立ち上げを手掛けてきた。
社長は意外と気付かない、自社のすごい点
私が企業支援で最も力を注いでいることは、その会社の唯一無二の「セールスポイント」を探し出すことである。どんな会社でも「オンリーワン」の長所が必ずあるはずだ。
しかし、中小企業の経営者と話をすると、たいてい「うちの会社は何もない」と言われる。社内にいると距離が近すぎて、多くの経営者が真のセールスポイント ―― 他では見られない「光る部分」をつかめていないように見受けられる。
では、真のセールスポイントを見つけるにはどうしたらいいのか?
それにはまず、常識や思い込みを一切捨てることが必要だ。現在の主力商品にとらわれすぎて、光る部分を見逃しているケースが少なくない。
その好例が、プレス用金型メーカー(株)増田鉄工所である。同社は金型加工の画期的な技術を持っていたが、売れ行きが伸びず悩んでいた。
この技術は、同社の光る部分ではなかった。それは、誰も気付いていないところにあった。
ヒアリングを進めていく中で、金型のメンテナンスを定期的に行うところは少ないことがわかった。そして、同社は納入先に対して定期的なメンテナンスを行っていること、それにより大きな損害を未然に防いだ実例があることもわかった。
これこそ、同社の最大の強みである。しかし、同社では通常業務という認識で、スゴイことだとはまったく思ってもいない様子だった。
そこで、私たちの提案を受け、同社はこれを「金型ドックBestコンディション」というサービス名で展開。チラシを作って全国の自動車部品関連工場等に送ると、すぐに応じきれないほどの問い合わせが入った。