2018年10月号掲載

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

Original Title :Drive:The Surprising Truth about What Motivates Us

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著者紹介

概要

人に行動を起こさせる「動機づけ」となるものは、文明の進歩とともに変化してきた。原始時代は、食欲などの生存本能が、工業化社会では、アメとムチ(報酬と罰)が人を動かした。だが、創造性が求められる今日、もはやアメとムチは有効ではない。自発的な動機づけ ―― 「モチベーション3.0」こそが必要だ、と著者は指摘する。

要約

「モチベーション2.0」の盛衰

 どんなコンピュータにも基本ソフト(OS)がある。同じように、人間社会にも基本ソフトが組み込まれている。

 人間の歴史がまだ浅い頃、5万年ほど前は、人間の行動の基礎をなす前提はシンプルだった。

 それは生き残ることだ。食料を集めるためにサバンナを歩き回る時や、獣から身を隠す時まで、生理的動因が人間のほとんどの行動を決めていた。この初期のOSが「モチベーション1.0」である。

 やがて、人間が村社会を形成したりするにつれ、単純なOSでは対処できなくなった。その結果、新しいOS、「モチベーション2.0」が生まれた。

 これは平たく言えば、報酬を求める一方、罰を避けたいという動機づけだ。言わば、アメとムチの動機づけである。

 過去200年の間、この動機づけを利用することで世界経済は発展してきた。特にフレデリック・ウィンスロウ・テイラーという米国のエンジニアが、1900年代初めに編み出した「科学的管理法」は巧妙で、多くの企業で採用された。

 この手法では、労働者は機械の部品と見なされる。彼らが正しい方法で、正しい時間に、正しく仕事をすれば、工場はスムーズに機能する。それを確実にするためには、相手がこちらの望む通りの行動をすれば見返りを与え、逆の場合には罰を与えればよい、というものである。

 このモチベーション2.0は、非常に長期にわたって稼動し、我々の生活に組み込まれてきた。

仕事の質が変わった

 その要因はいくつかあるが、1つは、仕事の質が変わりつつあることだ。

 行動科学の研究者は、仕事を「アルゴリズム(段階的手法またはルーチンワーク)」と「ヒューリスティック(発見的方法)」の2つに分類することが多い。

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