2019年5月号掲載
生活者の平成30年史 データでよむ価値観の変化
- 著者
- 出版社
- 発行日2019年2月20日
- 定価2,200円
- ページ数261ページ
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著者紹介
概要
平成という時代、日本人の意識や価値観はどう変わったのか? 長年、人間を多面的に研究してきたシンクタンクが、蓄積したデータをもとに平成の30年を振り返る。ひとり暮らしの増加、政治・経済への関心の低下…。生活環境や考え方の変化から見えてきたのは、未来に楽観も悲観もせず、社会より個人の幸せに価値を置く人々の姿だ。
要約
平成30年間の生活環境
博報堂生活総合研究所(生活総研)は、人間研究に特化したシンクタンクとして1981年に設立されて以来、様々な角度から研究を続けてきた。
その蓄積した調査データをもとに、平成という時代を人間 ―― 生活者の意識や行動、価値観の変化から振り返ってみよう。
まずは、これらの変化の背景をなす「生活環境」から。
ひとり暮らしが最多に
夫婦と子ども2人の家族を「標準世帯」という。1985(昭和60)年、「夫婦と子ども世帯」は全世帯の40%。平成の初期もまだ子育てをする家族が社会のマジョリティ、標準とみなすことができた。だが、その割合は低下し、2015(平成27)年は26.9%。もはやマジョリティではない。
その一方、「単独世帯」が急速に増え、直近では「夫婦と子ども世帯」を抜き最も多くなった。さらに、「世帯主年齢別の単独世帯数」では、65歳以上の高齢者の単独世帯数が急速に増えている。
結婚するもしないも個人の自由
50歳時点で結婚をしたことがない人の割合を「生涯未婚率」と呼ぶ。その数値は1985年には男性3.9%、女性4.3%にすぎなかった。
しかし、平成の間に上昇を続け、2015年には男性23.4%、女性14.1%に。結婚しないことも、人生の選択肢になってきたわけである。
誰もが働く社会へ
家計を60歳までの男性の稼ぎだけで支えるという生活モデルも、平成になくなった。
1980年代までは「専業主婦」がマジョリティだった。しかし、バブル崩壊後の1990年代後半に「共働き」が専業主婦を世帯数で逆転し、2017年には後者の2倍近くになった。
背景には、女性の就労環境の改善などに加えて、男性の稼ぎ手だけによる家計では苦しくなってきたという事情もあるだろう。
また、高齢者が働くことも一般的になってきた。「65歳以上の就業者数」は劇的に増えている。