2019年7月号掲載
今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由
Original Title :TEN ARGUMENTS FOR DELETING YOUR SOCIAL MEDIA ACCOUNTS RIGHT NOW
著者紹介
概要
フェイスブックの投稿を読み、「いいね!」を押す。今やソーシャルメディアの利用は当たり前となったが、これに警鐘を鳴らす。1人1人の興味や行動などのデータを集めて思うままに操り、莫大な利益を得る企業。一方で、ネット依存に陥る人々。内情を知るコンピューター科学者がソーシャルメディアの闇を記し、決別を促す。
要約
自律的に生きるために
ここ数年で、ほぼすべての人がスマートフォンを持ち歩くようになった。おかげでアルゴリズムは、人々の行動を簡単に操れるようになった。
アルゴリズムは、片時も休まずあなたのデータを貪り続ける。どんなリンクをクリックしやすいか? どんな動画なら最後まで観るか?
私たちは四六時中監視され、人々を操縦することで莫大な利益を上げる企業が運営するアルゴリズムによって、常に行動を促され続けている。
そんな世界で、どうすれば自律的に生きられるのか? 自分にとって何がベストか、あなたが決断する上で役立ちそうな話をしよう ―― 。
ソーシャルメディア企業の創業者たちの告白
ソーシャルメディアの悪影響について、創業者たちが悲痛な告白をしている。例えば、フェイスブックの初代社長ショーン・パーカーはこう言う。
「写真や投稿、その他のどんなものにでも、誰かが『いいね』をしたりコメントを書いたりするから…社会的評価のフィードバックループができる…私のようなハッカーがいかにも思いつきそうな仕組みだ。…ソーシャルメディアは人と人の、そして人と社会の関わり方をすっかり変えてしまい…そして恐らく思いもつかない形で生産性を低下させることになるだろう。子供たちの脳にどんな影響を与えるかは神のみぞ知るところだ」
フェイスブックの副社長だったチャマス・パリハピティアは、次のように語る。
「私たちが作り上げた、ドーパミン主導の短期的なフィードバックループは、社会を破壊しつつある…(今や社会には)礼儀正しい会話も協力も存在しない。あるのは偽情報と歪曲された真実だけ。…私は罪悪感で一杯だ。(このフィードバックループは)人間関係の土台を蝕みつつある。…唯一の解決策は、ソーシャルネットワークというツールを使わないことだけだ」
ソーシャルメディアへの依存
上述のパーカーは、フェイスブックが意図的に人々を依存へと導いたと言う。依存は人をおかしくする。人は依存が深まると、現実の世界や生身の人間とのつながりを徐々に失っていく。
ある特定の行動をするたびに必ず報酬を与えられた人は、その行動を繰り返すようになりやすい。つまり、ソーシャルメディアへの投稿を褒め称えられると、人はもっと投稿するようになる。
それ自体は何の問題もないように思える。しかし、これがソーシャルメディア依存の第一歩であり、その人にとっても社会にとっても問題となる。